熱戦冷めないうちに、簡単にですが
箱根駅伝2020の振り返りと
箱根駅伝2021の展望・予想を行っていきたいと思います。
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優勝した青山学院大を初め、戦前、”5強”に挙げられていたチームの振り返りを行います。
まず青山学院大ですね。
なぜ、青山学院大学は圧倒して優勝できたのか。すでにニュースに出てきているもののまとめと個人的に思ったものを少し追加した形で書きます。
まず年間通しての作りです。最強世代と謳われた世代が卒業し、青学大の戦力低下はかなり懸念されていました。正直、昨年の春の地点では7番手付近、下手すればシード権争いともいわれていました。
原監督もゴールデンウイークから、長い距離を中心とした合宿を行うなど、例年と違う取り組みもありました。ただ、多くは4年生の取り組み方についての指摘をし続けたことが大きかったみたいですね。
新年度が始まるころ、青学大陸上部HPの部員名簿が更新。その時に、一部の新4年生が名簿から名前が消えていました。実力的には部内で中堅くらいでした。表向きには、就職活動を早めに始めたのかなぁと思っていました。
実際は、その数名の部員が、授業態度・生活態度に乱れていたところがあったため、話し合って部を退部したということだったそうですね。
さらに夏前は、2軍寮(怪我明けの選手など)で、飲酒が発覚。2軍寮は規則で飲酒は禁止だそうです。その選手も、最終的に退部ということになりました。
一般の大学生からすると、たかがお酒ですが、強豪校の地位を守るためには、ある程度断捨離が必要かなと思います。
原監督の中では、非常に手がかかった世代だったということ、そして4年生が強くないと学生スポーツは勝つことができないという信念のもと、この作戦名が付けられたそうです。4年生に覚悟が出るかどうか、それが箱根駅伝復活Vのカギとみられたそうですね。
そういえば、6区7区出走した谷野・中村友選手も、3年時に結果が出ずに苦しんでいた時期に、原監督からマネージャーの打診もあったそうで。中村友選手は3年秋の暮れから徐々に記録会で結果が出始めていましたし、ある種劇薬も効いたみたいですかね?
年間通しての流れではあるのでしょうが、当日の采配の要素が強いものをこちらにあげておきます。
ここ数年、ナイキのヴェイパーフライで、日本長距離界の1万m以上の距離はここ数年で一気にタイムの短縮が図られています。
その中で、青学大は基本的にアディダス契約で、ヴェイパーフライはあまり履いていなかったのですよね。それでいて、常に大学駅伝の優勝争いの中心にいました。
それが今年の箱根駅伝では、青学大もヴィパーフライを履いていました。元々、綺麗な力強いフォームで、しっかり走れていた青学大勢が、反発とクッション性、フォーム改良と優れているヴェイパーフライを履いて、自信を持って突っ込んで入っていたなという印象です。
タイムが全体的に上がったのは、ヴェイパーフライという武器(まあ、靴を選べるようになったとも言えますが)が手に入ったからですが…、青学大があれだけダントツで強く走れたのは、そういう面もあるのかなと思います。
勿論、区間配置から箱根当日の流れが良くなった面も見逃せません。多くの人が予想していなかった1区吉田圭・2区岸本選手の配置が的中しました。
1区吉田圭選手、いきなりエース選手の起用でしたが、結果的に良かったですね。序盤から引っ張っていく選手が現れ、区間記録並みのペースでした。吉田圭選手でなければ付けなかったですね。駒大や東洋など他有力校が出遅れていたことを考えると、影のMVPでした。
そして2区岸本選手。原監督がわざわざ故障明けとか情報を出していたのは、本当に自信があったからなのでしょうね。2区終了時で青学大トップはちょっと予想付かなかったです。これで調子が戻っていた3区鈴木選手に繋がっていきます。
もう一つ注目すべきなのは4区と5区になります。昨年の青学大は4区と5区にプチブレーキが出て、ここを東海大や東洋大に付かれてしまい、総合5連覇を逃すきっかけになりました。
その4区、個々も4年生でしたね。実力はありながらも、毎年ギリギリのところで出走できなかった吉田祐選手。これまでの悔しさが爆発!おそらく監督も本人も予期していなかった区間新記録!しっかりミスなく繋ぐどころが、爆発的な走りをしました。
5区山登りは予定の選手がエントリー前に怪我をしてしまい、急遽走ることになった2年飯田選手ですが、70分台は爆発的な走りに限りなく近いでしょう。飯田選手も安定感・確実につなぐが持ち味の選手と言う印象でしたが…。これも凄い
こう見ると、前回失敗した区間で、リベンジどころか爆発的な走りをしていたことが分かります。狙っていたわけではないでしょうが、このあたりも原采配なのでしょう。
なお、その前年失速したうちの1人、岩見選手は8区に登場。彼もまた見事なリベンジ走でしたね。区間賞こそ1秒差で譲ったものの、相手の反撃の芽を摘んだのは見事。
今年は故障にもかなり苦しんでいたようですが、昨年より身体が絞れている印象だったのは、ナイスです。
他、5強と言われていたチームはそれぞれの結果でした。東海大2位、國學院大3位、駒大8位、東洋大10位です。
國學院大は当初の目的3位達成なので、他の大学について思ったところを書こうと思います。
東海大は昨年のミスない駅伝で昨年制しました。今年も、しっかりミスなく繋ぐことを目的としていたのが、結果的に2位に甘んじた要因かなと思います。5区西田選手の調整不良もありましたが、3区4区はもっと攻めれれば… は結果論かな?青学大の4区5区のあの爆発力は予想付かなかったです。
復路は館澤選手山下りの凄まじい爆発力を初めとして、懸命に追う態勢はできました。8区以降は中々前が見えない焦る場面もありましたが、復路優勝をかっさらうことができたのは収穫だと思います。
うーむ、全体的には、調整力がもう一つだったこと、高速化についていけない、この両面が少しずつあったのかなぁと思っています。
あれだけ条件が恵まれた中で、2区山下・5区伊東選手が昨年より成績が下がってしまいました。これは流れを考えると痛かったですかね…。ルーキー田澤選手は区間記録並みに走り、4区小島・7区小林・10区石川選手と、随所にいい場面もあっただけに勿体なかったです。
東洋大は問題ですね。区間記録の走りが3区間もでなから、シード権に四苦八苦してしまいました。現時点では、伸びている選手と、故障がちな選手と差が大きく出てしまっているということもあるかな?
また、ここ2年は1区が区間賞で、2区に強いエースがいた…という最高の流れがうまくできていたというのもあるのでしょう。今回は1区で出遅れてしまいました。一人のエースだけで流れをよくするほど、力がなかったということなのでしょう。
エースで稼いでもキープする力は今年度は無かったかなぁ。予想屋としては、全日本で一旦トップに立ちながら、後退してしまったのはもう少し重く見るべきだったかなぁと思っていたり…。
もう一つ、大学駅伝界として、ヴェイパーフライの先駆けだったのは東洋大なのですよね。ここ2年はそれも大きかったと思います。。
ところが、新しいタイプのものが出て、多くの選手に使いやすく、価格も抑えられるようになって、どの大学・どの選手も利用できるようになりました。東洋大としては、利点がなくなったとも言えそうです。
このあたり、また最新の情報を取り入れると思います。また東洋大がどのように戻ってくるか注目したいです。
まずは3年生以下の箱根駅伝の成績を見てみましょうか。
青学:1区7位、2区5位、5区2位、8区2位、9区1位、10区5位
東海:2区7位、4区2位、5区7位、7区3位
國學:1区2位、4区3位、6区8位、7区11位、8区7位、10区4位
帝京:1区8位、2区9位、3区2位、7区9位、8区3位
東国:1区13位、3区1位、4区12位、6区17位、8区5位
明大:1区10位、2区10位、3区7位、4区13位、5区5位、6区7位、8区8位、9区11位
早大:1区6位、3区14位、4区7位、5区15位、6区19位、7区2位、8区4位、10区8位
駒大:3区3位、4区5位、5区13位、7区5位、8区11位、9区13位、10区7位
創価:3区11位、4区4位、6区16位、7区18位、8区9位、9区6位、10区1位
東洋:1区14位、3区13位、5区1位、7区6位、8区6位、9区9位、10区19位
区間順位は流れもある程度は見る必要があると思いますが、それでも言えることはありますかね。
箱根駅伝に限って言えば、第97回箱根駅伝2021は青山学院大学1強と言わざるを得ないかなと。2区5区の主要区間は、岸本・飯田選手と素晴らしい下級生がまた来年も任せられそうです。新4年にも吉田圭・神林・岩見選手がいます。
非常に層が厚い新2年の世代はいよいよ出てくるでしょう。他にも選手層と言う面は、青学大はトップレベルです。
それから、競技をやめる予定だった4年竹石選手が、実業団内定を得るために、留年してもう一度箱根駅伝を目指すそうです。これもまたチームが活性化するのではないでしょうか?
勿論、ダントツのエース力があるかというと微妙なのは青学大。塩澤・名取・西田・松崎選手と、中々手ごわい選手を抱える東海大は対抗馬として上がってくると思います。
また、大エースがいるのは東京国際大ですかね。強力4年生世代が抜けますが、ヴィンセント選手なんだあれ…。あの選手で、出雲駅伝とかは中盤で抜け出してしまえば、最後までいってしまうのでは。創価大も似たことは言えますかね。ここは3年生以下で残る選手多いです。東国大&創価大の躍進はまだまだ続きそうです。
青学大の対抗馬は色んなチームが横一線ですよね。帝京大は序盤3区間を担った選手が残りますし、國學院大もエースは抜けますが、平均走力は高い印象です。
そんな中、スカウト順調な伝統校は躍進のチャンスです。まさかの6位躍進となった明大は、復路で4年生が2人走っただけ。往路5位のメンバーがそのまま残りますし、まだ発展途上の選手も多いのですよね。
ここ最近の4年生全体が不調に陥るという、悪い癖が出なければ、充分に強豪チームに戻っていけるのではないでしょうか。
早大は2区9区を走った柱が抜けますが、基本的にはここも発展途上のエース候補の選手が多いでしょうかね?中谷選手のほか、鈴木・太田直・千明・宍倉選手あたりにある程度目途が立ってきたのは大きい。特に鈴木選手はロードで楽しみです。
まあ、シード校に関しては、青学大本命、東海大が対抗、他は横一線ですかね?3月学生ハーフなどの結果、新入生の状況などを見て、またこれより詳細に突っ込んでみようかなと思います。
他にも語りたいことはありますが、東洋大ですよね…。2区と6区で区間記録を出した選手は卒業します。そして本来往路で走るべき、西山・吉川・鈴木選手あたりが故障続きで、中々エース区間に満を持しておく目途が立ってこないという状況です。
現状では、相澤・今西選手抜きで、上位に東洋大が来るイメージがわかないなぁというのが正直なところです。うまく選手を育てていくことに、今一度考え直す必要があるのかもしれません。
とりあえず、在校生の箱根成績を載せましたが…これはすごいぞ。
中学:1区5位、3区15位、5区8位、6区5位、7区14位、10区18位
中大:1区16位2区17位3区12位4区11位5区9位6区10位7区12位8区16位9区10位
拓大:1区17位、2区2位、4区14位、5区11位、7区10位、8区14位、10区20位
順大:1区18位、2区16位、4区9位、5区14位、6区12位、8区9位
法大:1区19位、2区18位、4区8位、8区18位、9区7位
神大:1区12位、2区20位、4区15位、5区6位、7区8位、8区12位
日体:1区3位、3区20位、4区18位、5区16位、7区17位、8区17位、9区16位
日大:1区15位、2区12位、3区8位、4区17位、6区4位、7区19位、8区19位、9区20位
国士:1区20位、2区4位、3区19位、6区9位、7区16位、8区13位、10区14位
筑波:1区11位、3区16位、4区19位、5区19位、6区20位、7区20位、8区20位、10区16位
とりあえず、中央学院大・中大は余程のことがない限りは本戦に復帰できるかなぁ?神大・日体大・日大・順大あたりも、不安は少しあるけど通過候補。拓大もなんだかんだ育成してきてるかな?
伝統校では法大が今年はやや育成面うまくいかなかったようで次年度どうなるか。また予選会が暑くなったのが、いい方向に作用したとみる国士大や筑波大は、経験者はいるがスピード面で付いていけるかどうか。
だって、本戦出場を逃した常連校で山梨学院大・大東文化大・城西大が急ピッチで再強化を進めていますし、麗澤大・駿河台大・武蔵野学院大・流通経済大も持ちタイム上はほとんど変わらないタイムを出しています。
専大・農大・亜大も虎視眈々、来年はまだでしょうが立教大もどこまでくるのやら??
以前は、10枠を14校ほどで争っていましたが、今は20校以上を争うことになってきてるのではないでしょうか。裾野はどんどん広がってきています。
もっと詳細は、新年度になったタイミングで行うつもりですが、今からでも言えることは書いてみました。また少し意見を交わすことができればと思います。