夏の間、更新できなかった企画ですね。11月の間に少しでも続けます。
第75回箱根駅伝1999を振り返っていきます。
今回は、8区になります。
トップ駒大は、3年上原選手が逃げていく。後ろは順大奥田、さらに神大相馬・中大富田選手らルーキーたちが頑張って追い上げます。
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基本的には繋ぎ区間と言われている8区。上位陣はルーキーが多いですね。順大1年奥田選手は西脇工業出身の有力ルーキー、神大はスーパールーキー土谷選手からエントリー変更で相馬選手、中大は富田選手も有力ルーキー勢ぞろいだった。
この他で初のメンバーとなった駒大上原選手がトップでどう逃げていくか。他、後の大阪府警のエース大坪選手の最初で最後の箱根路の姿もある。
駒大上原選手ら上位陣はひとまず順調な入り
駒大上原選手は、最初の1㎞3分11秒とややスローペース。緊張からか、やや弾んでいるフォームが気になったものの、3分10秒ほぼイーブンで茅ヶ崎地点を通過。
後ろルーキー順大奥田選手は僅かに差を詰めたが、6秒程にとどまっている。3位東海馬場選手を挟み、中大富田・神大相馬選手のルーキーが激しい競り合い。トップ争いよりも早い入りで突き進んでいく。
4分程離れて、これまたルーキー東洋生田選手もまずまず順調な入りで後ろのシード権を追う。その後ろ、視界に入っていたはずの山学4年大坪選手が3分15秒以上平均のスローペース。
後ろ大東松浦選手が追いつきかけたところだ。ただこのあたりは戦略もあるので、もう少し見ないと分からないところだ。
12位拓大山本選手が逃げ、9位日体城戸口が追いかける
一つ面白い事が起こっていた。見た目の差僅かだったが、一斉スタートの関係で実は日体大が9位、拓大が12位。拓大は日体大を見た目で突き放すことが必要あった。
拓大山本選手がこの間5番目のペースで比較的早めに入って、月搬送とするも、日体城戸口選手も逃さない。日体大とすれば食らいついている間は拓大に抜かれる事は無い。このあたりは普通では見られない面白い駆け引きだ。
その他では、見た目14番で総合11位の早大上田選手が1㎞平均3分20秒程の超スローペース。前の中学森選手が遠ざかり、後ろ帝京佐藤選手が追いつきかけている中、どうなるか気になるところだ。
神大相馬・中大富田選手の激しい3争い、3位を視界に捉える
遊行寺坂の手前、中間走といえるところ。細かいところでは動きがあったようだ。ひとまずトップ上原、2位奥田選手はまた少し縮まったが、通算で10秒。両者譲らない形と言っていいだろう。
後ろ3位東海馬場選手はここは少しぺーすダウンしトップとの差5分以上へ。その後ろだ。中大富田・神大相馬選手の競り合いが続いており、1㎞3分を切るあたりまで上がって来た。もう3位が視界に入るところ。この争いは中々面白いものがある。
その後ろ、東洋生田選手はペースダウン。逆に7番目8番目の山学大坪、大東松浦選手がペースに乗って来た。9番目10番目拓大山本、日体城戸口選手はペースダウンも、日体城戸口選手が少し離れる形。このシード権争いも気になるところ。
中学・森、帝京・佐藤選手が健闘
11番目に日大有井選手が通過。まだ総合7位はキープしているので遊行寺坂で失速しなければというところ。その後ろ12番目に中学森選手が上がって来た。まだ難所の手前とはいえ区間7位は健闘と言える。
その後ろ、13番目に法大竹崎選手が失速。遊行坂前にぐっとし落ち込んでしまうのはちょっと苦しい。僅かな望みのシード権が遠ざかる後退だ。
最後、14番目争いに帝京佐藤選手が浮上。なんとこの定点間5番目の好タイム、前が見えて元気になったか。早大上田選手はこれにはついていく力はあったか。うまく利用したところだ。
順大奥田選手がトップを急追、神大が3位浮上!
さて、やはり大きな動きがあったのが遊行寺坂だ。当時とは定点ポイントが違うのだが、この時は遊行寺坂を含んだ5㎞を見ることができた。
順調にトップを守って来た駒大上原選手の推進力が俄かに鈍った。どうやら坂の影響だけでなく、本当に苦しそうになった。後ろ奥田選手の方が力強くてぐっと差が詰まって来た(奥田選手談では大ブレーキしていたとのこと)。1分22秒はちょっと分からなくなってきた。
さらに後ろ、4位争いを14㎞地点で神大相馬選手が決着をつけると、16㎞過ぎに東海馬場選手を捉え3位に浮上。ルーキーの快走でついにトップ3まで神大が戻って来た。連覇は苦しくなったが、今後の希望の星と言える存在、今回一番大きな収穫なのかも?
おいていかれた、中大富田選手もこの定点間2番。通算で、ルーキー3選手が区間タイムトップ3を争っている展開だ。
高校時代演劇部山学大坪選手が遊行寺定点4番
6番目東洋生田選手はこの定点間9番目のタイム。逆転シード権に向けてもう一度盛り返したいところ。7番目通過の山学大坪選手が
遊行寺坂は4番目のタイムでいいタイムで走破。
高校時代は演劇部所属していた異色のランナーが、最後の最後で箱根駅伝に登場。序盤のスローペースで全体ではまだ区間11位だが、後半しっかり走っている。後々、実業団大阪府警で大エースになるのだが、もう少し先の話だ。
拓大山本選手が11位浮上、日体城戸口選手も4番
8番目は大東松浦と思いきや、拓大山本選手が頑張って浮上。どうやら総合でも早大を交わして、ついに11位浮上。往路大きく遅れた所から、ここまで上がって来た。あと2つ交わせるか。
対象の総合9位で10番目の日体城戸口選手も、遊行寺坂は粘走し4番目のタイム。総合9位のタイム差は縮まりそうで、縮まってこない様相だ。
駒大上原選手トップキープも順大奥田選手が58秒差に!
駒大上原選手が懸命の継走。「どこでもいいから走りたい」と願い、3年目で掴んだチャンスだったが、遊行寺坂で脚が止まってしまった。全体区間4位だったが、区間上位とは差があり、区間下位と差が無い4位となった。
これはトップ3の争いの順大奥田選手が一気に詰めてくる。本人は「失敗レース」と振り返っていますが、やや向かい風気味の中、まずまずの67分22秒。トップとの差は58秒となんと1分を切って来た。直線距離でギリギリ見えるかもしれない差。俄かに優勝争いが激しくなってきた。
神大相馬選手が区間賞!復路優勝へ突き進む
3位は神大相馬選手がやってきた。遊行寺の坂も軽快に駆け上がり、見事な走り。ラスト3㎞はさすがに苦しくなったものの66分07秒区間賞獲得。来年以降が楽しみな選手。チームとしても、復路2つ目の区間賞で、復路優勝へ向けて突き進んでいく。
また中大富田選手も最後で4位に浮上。富田選手も最終66分27秒の区間2位。こちらも今後が楽しみだ。東海馬場選手は5位に後退したが、区間順位は5位と踏ん張った。3区間連続4年生が頑張っています。
日体大城戸口が9位キープ、東洋・拓大は活ききれず
ここから、一斉スタートランナーを交えて転々とやってくる。6番目で総合10位東洋生田選手が懸命にやってくる。少しは9位を追い上げたはずだがどうか。7番目は最終的にまた迫って来た山学大坪選手が通過。ある程度序盤のスローは挽回したか。
8番目争いは、最後大東松浦選手が抜き返して中継所へ。のちの大東大エース級となる片りんを見せた。拓大山本選手は最後息切れ。9番目でのリレーに。
その後ろ日体城戸口選手も苦しかったのだが、総合タイム上はそこまで詰まらず、逃げる日体大としてはラッキー、追う東洋・拓大としては勿体ない8区となった。
早大上田選手がラスト3㎞トップタイ、11位に戻す
11番目はぐーんと離れて、日大有井選手。ずっと単独走となっていたが、最低限では走り切る69分台。12番目は途中まで頑張ってた中学森選手が終盤に失速。最終的に区間13位とうまくいかなかった。やはり遊行寺坂は難しいポイントだ。
13番目はちょっとびっくり。終始帝京大の後ろ15番目を走行していた早大上田選手が、ラスト3㎞で一気に巻き返す走り。かなりのスローペースだったので、余力は残っていたでしょうか。
それでもラスト3㎞は順大奥田選手と同じタイムで区間トップなのは驚き。直前で失速していた法大竹崎選手を交わしてのリレー。何とか総合11位に順位を押し戻す格好となった。
14番目法大竹崎選手は調子が合わなかったでしょうか。区間14位から1分半離れる71分台。シード権争いから、繰り上げを気にするラインに。
15番目は追い上げた帝京佐藤選手。見た目順位はあげられなかったが区間7位。昨年も区間9位と健闘を見せた区間、帝京大としての当時の過去最高順位を更新して見せました。
優勝争いは、ちょっと分からなくなる58秒差。駒大・順大共に9区に主力選手を残しており、ここでの走りが注目される。3位争いもようやく神大が波のってきたところだ。
7位大東-1分00秒差
8位日大-19秒差
9位日体
10位東洋+49秒差
11位早大+1分35秒差
12位拓大+2分05秒差
シード権争いは、定点ごとでの上がり下がりはあったものの、ほとんど動いていなかった。実は区間6位から12位までが僅か35秒差の接戦だった。
日体大が何とかキープ、日大が落ちてきて実は眼前に。大東大も安全圏まではいかず。
後ろ東洋と拓大は少し詰めて、早大は少し開いたところ。9区にどれだけの選手を残しているか、大きなカギになります。