2月・3月上旬は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
続いて、
優勝候補の一角…熱発症状に泣く
中央大学です
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昨年の箱根駅伝は、久々の表彰台となる総合2位。吉居大·中野選手が2区3区と往路主要区間で区間賞を獲得してトップを疾走すると、復路終盤まで総合優勝の可能性を残す力走でした。
その時の往路メンバーが全員残った今年は、1996年の第72回箱根駅伝以来の大学駅伝制覇の大きなチャンスでした。4年生吉居大·中野選手は海外でスピード練習を積み、さらに叩き上げ湯浅選手がロードで逞しくなりました。さらに2年生も吉居駿·溜池選手らが伸びていました。
自慢のスピードランナーを揃え、秋初戦となる出雲駅伝に注目が集まりましたが、まさかの総合7位。吉居大選手が、新型コロナ感染から戻りきっておらず欠場。ややギャンブルをかけた1区が、ハイペースで大きく遅れてしまいました。
全体的に主力が自信を失っていた中、全日本駅伝は、1区から吉居駿·中野選手ら主力を固め、ある程度上位の流れにのって推移。7区湯浅選手の好走もあり、最後まで2位争いを繰り広げての4位。上昇気流に乗れる結果でした。
その後、吉居大選手が1万で3年ぶりに自己ベストを出して、いい雰囲気に。12月も手綱を緩めず、強度の高い練習をこなして、12月下旬の最後の強化合宿に入る頃には、打倒王者もあるのでは…というところまでチームが引き締まったのですが…急ピッチの仕上げに大きな落とし穴が待っていました。
13位中央大学11時間01分58秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 19位 | 溜池一太② | 62分51秒 | 19位 | 1分49秒差 |
2区(23.1㎞) | 15位 | 吉居大和④ | 68分04秒 | 17位 | 3分33秒差 |
3区(21.4㎞) | 20位 | 中野翔太④ | 64分33秒 | 18位 | 7分57秒差 |
4区(20.9㎞) | 3位 | 湯浅 仁④ | 61分44秒 | 13位 | 8分31秒差 |
5区(20.8㎞) | 14位 | 山﨑草太① | 73分23秒 | 13位 | 12分22秒差 |
6区(20.8㎞) | 5位 | 浦田優斗③ | 58分37秒 | 10位 | 12分45秒差 |
7区(21.3㎞) | 1位 | 吉居駿恭② | 62分27秒 | 10位 | 12分26秒差 |
8区(21.4㎞) | 22位 | 阿部陽樹③ | 68分54秒 | 12位 | 17分20秒差 |
9区(23.1㎞) | 16位 | 白川陽大② | 71分14秒 | 13位 | 19分43秒差 |
10区(23.0㎞) | 9位 | 柴田大地① | 70分11秒 | 13位 | 20分33秒差 |
1区溜池選手…2年連続1区で前回区間4位、他の駅伝では中盤の区間で区間3位以内と抜群の安定感を誇っていました。まずはどのあたりの位置に付けるか注目されました。序盤留学生ランナーが前に出ようかというところで、付く構えを見せましたが、結局つかず。集団に控えます。
どこかで仕掛けるのかなと思いきや、なんと10㎞手前で一番最初に集団から遅れてしまいます。その後、懸命に食い下がって、少しずつ順位を上げていき区間19位。でしたが、トップの駒大からは1分49秒差。それでも同じく出遅れた上位候補の國学院大が見える位置でのリレーでした。
2区吉居大選手…ついに最後の箱根駅伝となった吉居大選手。2年時の1区区間新、さらに前年3年時の2区区間賞と強烈な印象を残しています。最後は下位からの襷を受けましたが、どこまで追い上げるかが非常に注目でした。
序盤は、区間上位のペースで突っ込んでいき、中学大や國學院大のエース選手とともに勢いよく前を追っていきます。でしたが、権太坂以降脚色が鈍ってしまい、68分04秒の区間15位、総合順位も2つ挙げる17位に留まりました。おかしいなとこのあたりで感じ始めました。
3区中野選手…トラックでもロードでも中大のエース格となっている4年中野選手。5千m13分20秒台のスピードもあれば、前回の箱根3区区間賞と持続力もあります。前は見えている展開なので、一気に順位が上がると思いきや、すぐ前にいた神大らに迫ることができず区間20位付近のペース。中大に異変が起きていました。
12月24日からの最終合宿で、咳と熱発する選手が続出。最終的にエントリーメンバーで何事もなかったのは4区湯浅7区吉居駿選手の2名だけ。ほとんどの選手が体調を崩して、棄権も考えたうえで、当初の予定オーダーで組むしかなくなったという…。とにかく3区までは我慢の展開、中野選手は昨年より2分半遅れるも、何とか襷リレーとなりました。
4区湯浅選手…ここから追い上げていく区間。4年間かけてロードを中心にたくましくなってきた選手。2年時に復路9区で区間3位好走したシーンが印象に残りますが、フルマラソンも走ったり、今年は関東ICハーフでも表彰台、さらに1万m28分半を切るなど、総合力をつけて、箱根2区起用も考えられたほど。最終的に逆襲をかけられる4区になりました。
総合18位という位置での中継でしたが、落ち着いて前を追いかけていきます。二宮までに、農大・神大・国士・山学をまとめて交わしていくと、中盤の単独走は力強さを発揮し、1分以上前のチームを追走、最後に順大・日大・大東大の集団に追いついたところで襷リレー。下位の中で、区間3位の力走で、混戦での総合13位へ。苦境に立たされたチームを、主将がシード権争いに引き上げました。
5区山崎選手…一つサプライズ采配だったのですよね。前回区間3位など2年連続5区山登りの阿部選手を平地に下ろして、1年山崎選手を抜擢。本来は3区まで食いついて、4区主将で抜け出して、5区山崎選手で耐えて、6区から8区で勝負を決めに行く意図のオーダーだったそうです。前後が詰まっていたので、忙しい展開になった中、万全ではなかったからか小涌園過ぎてからは少し脚色が鈍りました。最終的に区間14位でゴール、でしたが大混戦となり、10位シード権までは18秒差まで追い上げてのゴールとなりました。
6区浦田選手…トラック3障で8分40秒を切るなどスピード抜群の3年生浦田選手が山下り6区へ。前年まで4年連続務めた選手が卒業してしまったので、穴となる区間ともいわれましたが、まさに千両役者という選手が入りました。スクランブル発進となった出雲1区は失速してしまいましたが、こちらはじっくり準備してきました。
一斉スタート組にも、有力選手がかなり集まって、かなり早いペースで入っていく中、浦田選手も一斉組のトップ争いを繰り広げます。終盤は少し苦しくなりましたが、それでも区間5位となる58分37秒と、全体的にタイムが出た中でも上位、さらに総合順位は10位にまで浮上!ついにシード権内に浮上してきました。
7区吉居駿選手…元々勝負区間という位置づけだった7区には、2年生吉居駿選手が入りました。結果的にもう一人の絶好調選手となりました。5千m13分20秒のスピードは、箱根全ランナーでも屈指。駅伝は、出雲3区で追い上げに失敗するなど、やや苦手な面もあったそうですが、力をつけてきていました。
最初の3㎞あたりで、創価・法大らあっという間に前を捉えて5番目に浮上すると区間新ペースで前を追っていきます。10㎞あたりから差し込みがありペースが落ちますが、15㎞で、昨日2区を走った兄大和選手から力水をもらい復活。最後は見た目ながら総合4位だった東洋大まで捉えてリレー。62分27秒の区間賞、総合10位は変わらずも、シード権とは2分以上の差を付けました。
8区阿部選手…一気に抜け出したかった8区。山登りで有名ですが、平地でも全日本8区を2年連続走るなどエースの阿部選手。12月下旬の熱発は関係なく、もともとこの区間の予定でした。ここでシード権は何とか…の予定でしたが、なんと元日に発熱してしまい、それでも走れる選手がおらず、10番手として出走せざるを得ませんでした。
序盤は、ほぼ同時スタートだった東洋大の後ろに付きましたが、既に顎が上がり苦しそうな表情。その後は、非常に苦しい走りになり、じりじりと見た目の順位が下がっていきます。68分54秒の区間タイムでしたが、藤原監督もこれでも目一杯と、残り1㎞で「もう頑張らなくていい、1㎞3分20秒で走ろう」の声掛け。見た目13番、総合12位でのリレーとなりました。
9区白川選手…復路のエース区間9区に入ったのは、伸び盛りの2年生から白川選手。2年に上がる前にハーフ62分台に入るなど新戦力候補として名前が挙がっていた選手です。その後、一時足踏みした時期もありましたが、箱根へ調整してきました。シード権へ向けて追い上げたいところでしたが、単独走の場面も多く、71分14秒の区間16位。見た目14位、総合13位で、シード権とは1分09秒差になりました。
10区柴田選手…アンカーに入ったのは1年生柴田選手。ここのところずっと4年生の起用が続いていましたが、今回は秋に早くも28分台突入の若駒となりました。とはいえ、もちろん熱発明け。前日には監督に”やっぱり無理かもしれません”とLINEしていたそうな…。
それでも走り出したら、やっぱりランナーでした。ほぼ同時スタートとなった日体大や国士舘大、さらに後方から立教大が追い上げてくる展開。その中で流れの中で力を発揮、日体大には離されるも、国士大は突き放し、立大は抜き返していきます。流れの中で、70分11秒の区間9位。順位は総合13位のままでしたが、次につながる走りでした。
なんというか、一駅伝ファンとして、悔しいですね。中央大が復活に欠かせなかった吉居世代が4年生になり、総合力も充実してきた中、万全の調整での走りが見れなかったことは無念ですね。シード権取れなかったどうこうよりも、そこに尽きます。直後の都道府県対抗駅伝で中野選手が好走、さらに丸亀ハーフでは柴田選手が61分台爆走しています。調子が良かった湯浅・吉居駿選手は、上位校と戦える成績でしたし、万全で見たかった。
運が悪かった…ということだけでなく、やはり12月中旬にもかなり強度の高い練習を入れたことは、免疫力が落ちてくる時期なので、リスクが高かったのだろうなと思います。青学大は、11月下旬インフル感染後、強度の強い練習は控えていたそうですし、このあたりは、考えさせられることですね。今回の事から、また次年度以降の調整、考えていくことになりそうです。
残る今年の箱根メンバー
吉居駿恭②28分06秒27≪24箱7区1位、23全1区3位、出3区11位、箱4区5位、22全3区8位、出6区4位≫
阿部陽樹③28分26秒58≪24箱8区22位、23全8区4位、出4区5位、箱5区3位、22全8区8位、出4区3位、箱5区6位、21全2区12位≫
溜池一太②28分26秒77≪24箱1区19位、23全4区3位、出5区3位、箱1区4位、22出5区2位≫
白川陽大②28分55秒63≪24箱9区16位、23関東IC1万16位≫
浦田優斗③28分57秒05≪24箱6区5位、23出1区13位、関東IC3障2位≫
柴田大地①28分59秒25≪24箱10区9位≫
山﨑草太①29分46秒68≪24箱5区14位≫
残る補欠メンバー
伊東夢翔②28分38秒62≪23関東IC5千12位≫
本間 颯①28分49秒98≪23全5区5位≫
山平怜生③28分51秒87≪22全2区11位≫
吉中祐太②28分55秒93≪23全6区4位≫
佐藤 蓮①29分37秒59
その他有力選手
鈴木耕太郎①29分01秒61
山口大輔③29分10秒53≪21全6区11位≫
佐藤宏亮②29分01秒08
小田切幹太①29分14秒38
東海林宏一③29分15秒41≪21予76位≫
佐野拓実③29分17秒39
伊藤春輝①29分28秒85
髙沼一颯③half62分19秒
七枝 直≪24全国1区7位、23高校1区14位≫
岡田開成≪24全国5区4位、22高校3区12位≫
原田望睦≪23高校1区13位、22高校1区15位、21高校3区30位≫
並川颯太≪23高校4区3位、22高校4区12位≫
相地一夢≪23高校3区30位≫
佐藤大介≪23高校3区7位≫
木下道晴≪23高校1区37位≫
巻き返していきたいところですが、基本的には強い世代が抜けていることも考えていく必要がありますかね。その中で、新4年生は、ロードの要になるだろう阿部選手や、3障に山下りとスピード抜群の浦田選手は役職につかず、走りでチームを引っ張っていくことに。年々強くなっているところ、最後の伸びに注目ですね。
この世代はほかに、副主将に就任する山平選手は、何度かハーフマラソンに好走、下級生時に主要大会を経験している山口・東海林選手、さらにかながわハーフで62分19秒のタイムで断トツ優勝している高沼選手がいます。そして、主将となる佐野選手。この世代自体も結構注目ですよね。
新3年は中心になっていくこと。スピードは大学長距離界屈指の存在となってきている吉居駿選手はやはり注目。箱根予選はどうしても挟むことになりますが、その中での世界へ向けての強化は期待ですね。新3年溜池選手も続いていますし、箱根9区白川選手に、全日本出走の吉中選手、1万m持ちタイムは上位の伊東選手らこの世代がどこまで上がるかは楽しみですね。
新2年生も、ここは高校時代有力ランナー多くなっています。箱根5区を走った山崎選手や10区柴田選手のロード力はさすがですし、全日本を走っている本間選手に、おそらく山下り控えだった佐藤選手も今後台頭するでしょう。さらに、怪我などで箱根メンバーには入りませんでしたが、29分01秒の鈴木選手や29分14秒の小田切選手が本格化すると、一気に総合力が上がりますね。
有力ルーキーたちは、今年も多く加入。全国駅伝でも活躍している七枝・岡田・原田・並川選手らが入学してきます。距離対応がどこまで進むかは分かりませんが、箱根予選は本当に通過点、全日本・箱根駅伝でどこまで戦っていけるかになっては来ると思います。
12月下旬の体調不良で、色々と備えてきた準備が吹き飛んでしまいました。その中で、体調不良にならなかった4区湯浅選手が下位から追い上げて、7区吉居駿選手が区間賞で見た目4番手まで浮上するなど、良かった選手は凄かったです。
また、比較的症状が軽かったとみられる6区浦田・10区柴田選手の好走がありましたので、次につながる部分もあったかなと思います。
チーム切り替わっています。新4年になる阿部選手に新3年になる吉居駿・溜池選手に、一気に伸びた柴田選手など有力選手は本当に多くなっています。総合優勝を狙えるかはともかく、予選会のチームで抜けているのは分かります。
ひとまず箱根予選で62分台5名・63分台5名あたりが目標となりましたが、監督「今すぐでも達成できそう」くらい充実しているのですよね。年間通しての強化次第では、一気に上位グループに戻ってくると思います。この1年の取り組みに注目ですね。
箱根駅伝ファンのための情報集
【箱根駅伝ファンのためのリンク集】
【【結果も!】2022年度箱根駅伝ファンのための競技会日程】
姉妹サイトより
【箱根駅伝アニメ:風が強く吹いている完走】
ウマ娘【競走馬元ネタ解説シリーズ】