【箱根駅伝2024(第100回)】5区を定点別に振り返る

そろそろ箱根駅伝2024(第100回)の余韻が冷めつつありますかね。

レース内容をもう一度じっくりと振り返ってみたいと思います。

例年通りの定点別振り返りとなります。

続いて、山の神レベルの決戦となった5区!

2年ぶり出走の青学若林選手が颯爽と上る中、懸命に食い下がる駒大金子選手、2年連続区間新を狙う城西山本選手が追いかけました。

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【箱根駅伝2024】5区定点間分析~雨中で開いた首位決戦!

まずは出走者を持ちタイムと、過去の実績とともに見てみます。

5区走者・実績順

1位青学・若林宏樹③28分25秒71/61分25秒≪23全1区8位、22箱5区3位、21:全6区12位、出4区6位≫
2位1:26駒大・金子伊吹④29分29秒62/63分32秒≪23関東IChalf14位、22箱5区4位≫
3位3:35城西・山本唯翔④28分25秒21/61分34秒≪23全8区5位、出6区3位、ユニバ1万3位、全予4組8位、関東IC1万11位、箱5区1位、22予65位、21予81位、箱5区6位、20:全7区13位、予115位≫
4位3:52東洋・緒方澪那斗②28分36秒67/≪23全4区14位、出1区6位、関東IC1万14位、22全予4組20位、関東IC5千m15位≫
5位4:15國學・上原琉翔②28分36秒44/63分22秒≪23全3区3位、出1区3位、関東IC1万、箱7区6位≫
6位5:12早大・工藤慎作①28分31秒87/65分01秒≪23全4区13位、出4区10位、関東IC1万6位、全国5区4位、22高校3区5位、IH5千m10位≫
7位6:37帝京・尾崎仁哉②29分10秒39/63分23秒≪23全予3組12位≫
8位6:49創価・吉田 響③28分59秒50/63分18秒≪23全5区1位、出5区1位、22予26位、全予1組1位、箱5区2位≫
9位7:32東海・喜早駿介④28分52秒13/63分54秒≪23全予1組6位、22全予2組16位、関東IC1万m19位、21:全1区16位≫
10位7:50法大・細迫海気④29分19秒02/63分59秒≪23関東IChalf19位、箱5区10位、22箱5区13位、21:予131位≫

11位8:30順大・石井一希④28分48秒45/62分09秒≪23全7区12位、出6区11位、関東IChalf8位、箱4区15位、22全4区5位、箱4区2位、21:全4区14位、出5区4位、箱4区5位、20:全5区5位、予21位≫
12位8:30日大・大橋 優③29分16秒28/64分12秒≪23予136位≫
13位8:31中大・山﨑草太①29分46秒68/≪23全国1区19位、22高校1区8位、国体14位≫
14位8:32大東・菊地駿介④28分55秒56/62分28秒≪23全8区9位、予23位、箱5区12位、22:全2区13位、予32位、20:予120位(連合選出)≫
15位9:21国士・山本雷我④29分33秒84/64分51秒≪23箱5区11位、22予117位、箱5区13位≫
16位9:25山学・弓削征慶②31分26秒42/
17位9:25中学・柴田大輝③28分54秒81/63分56秒≪23予150位、全予2組18位≫
18位9:33立大・山本羅生③28分45秒06/65分14秒
≪23予318位、全予3組22位、箱8区15位、22:予143位、21:予257位≫
19位10:09駿河・倉島啓人②30分09秒18/64分26秒≪23予156位≫
20位10:41農大・吉村颯斗④30分19秒05/64分35秒≪23予175位、22予216位、21予254位≫
21位11:36神大・大泉真尋④29分16秒77/63分45秒≪23予162位、22予240位、箱8区10位、21予156位≫
22位13:27明大・吉川 響②29分01秒27/62分31秒≪23予34位、全予3組7位、箱5区15位、22全6区7位≫
23位13:54日体・三好紘生④29分50秒63/65分19秒

 先頭は青学大若林選手は2年ぶりの箱根路であり山登り、2大会前は70分台の好走で往路優勝のゴールテープを切った。昨年も出走予定でしたが、前日の熱発で走れず。その後も、調子が上がらなかった時期を乗り越えての山登りだった。

 2位でタスキを受けた駒大金子選手も2年ぶりの箱根路であり山登り、2大会前は71分少しで粘っていた。前回は、今回4区の山川選手の補欠となっていましたが、もう一度チャンスが巡ってきた。長い距離は実戦で何度も走っていて、粘り強さは誰にも負けない自信があった。

 それを追いかけるのが3位でタスキを受けた城西大山本唯選手。前回5区山登りで区間新記録を出して、監督が名付けた”山の妖精”で有名になりました。平地の2区も希望しましたが、チームの目標のため再び山登りへ。区間記録更新だけでなく、旧コース区間記録今井正人さんの69分12秒をも目指していくことに。その後方8位スタートで、同じく山の神の記録を目指した創価大吉田選手も注目されました。

 他、サプライズの主力出走も。國學院大は、出雲全日本前半区間で流れを作った2年上原選手で勝負、順大は3年連続4区出走の石井選手を5区山登りに起用して、シード権以上に執念の采配。また、大東菊地選手や法大細迫選手ら連続して山登りを走る選手もいれば、

 前年出走者を平地にして、新たに入った1年生”山の名探偵”と名付けられた早大工藤選手、中央大は山崎選手を起用した。さらには、激坂王ワンツースリーとなる国士大山本選手、山学大弓削選手、農大吉村選手が参戦。特に3年連続山登りで優勝もしている山本選手は注目の一人。どこも山登りは考えうる限りの人材を投入してきたという感じだった。

定点間分析①:小田原中継所~函嶺洞門

レース展開

2㎞創価吉田選手が、帝京尾崎選手を交わして7位へ 中継所11秒を埋める
なお、寒さが苦手とのこと

3.5km函嶺洞門
区間記録:99回山本(城西)10分49秒

3位若林(青学)10分51秒①
1位金子(駒大)10分46秒②1:22
4位山本(城西)10分52秒③3:36
6位緒方(東洋)10分56秒④3:57
15位上原(國學)11分07秒⑤4:31
5位工藤(早大)10分53秒⑥5:14
2位吉田(創価)10分49秒⑦6:47
20位尾崎(帝京)11分11秒⑧6:58
16位喜早(東海)11分08秒⑨7:49
22位細迫(法大)11分13秒⑩8:12
10位菊地(大東)11分03秒⑪8:44
13位石井(順大)11分05秒⑪8:44
11位山﨑(中大)11分03秒⑪8:44
13位大橋(日大)11分05秒⑪8:44
8位山本(国士)11分01秒⑮9:31
12位柴田(中学)11分04秒⑯9:38
18位山本(立大)11分09秒⑰9:51
23位弓削(山学)11分17秒⑰9:51
7位倉島(駿河)10分57秒⑲10:16
21位吉村(農大)11分12秒⑳11:02
16位大泉(神大)11分08秒㉑11:53
8位吉川(明大)11分01秒㉒13:37
18位三好(日体)11分09秒㉓14:12

序盤は突っ込んだ駒大金子選手と創価吉田選手

 思ったより差が付いたトップ争いは、序盤の平地部分では僅かに駒大金子選手が詰めた。全体トップとなる10分46秒の入り、気迫のこもった走りだった。走力の高い青学若林選手も3番目の10分51秒で入っているので、5秒詰めた1分22秒の差。この差が本格的な山登りに入ってから、どうなるか気になった。

 区間記録保持者の城西山本選手は、前年の自身より僅かに3秒遅い入りも、前回はシード権外でタスキを受けた影響もあるので、上りに入ってから次第か。4位東洋緒方選手も箱根2区を意識した時期もあり、ここは攻めていく。逆に國學院大上原選手は15番目。抑えていたが走力的にはやや気にかかったところか。6位早大工藤選手は少しずつ詰めていく。

 気になる創価吉田選手は、2㎞で帝京大尾﨑選手を捉えて7位に浮上。寒さが苦手との情報もあり、冷たい雨がきになったが、この時点では区間2番目。このままどんどん前を追い上げるものと思われた。帝京大の後方、東海喜早選手に法大細迫選手はまだ追い上げていなかった。

駿河倉島・明大吉川選手ら、後方追い上げる選手も早い入り何人か

 後方、都道の4チーム襷リレーとなった11位争いはまだ固まったまま。昨年経験者の大東菊地選手に、ロード手堅い順大石井選手に、中大ルーキー山崎選手に、4年ぶり日大から大橋選手が挑んでいく格好だ。

 そこから離れた15位争いは、3年連続山登りの国士大山本選手が早くもやや抜け出す形。1万m28分台の中学大柴田選手を振り切っていく。後方は立大山本選手が山学弓削選手に追いついたところ。弓削選手は、ここまでは最下位と平地部分は慎重な入りだった。

 その後ろ19位駿河台大倉島選手が定点7番目と早い入り。とはいえ、実績はまだ少ない選手で果たして大丈夫なのか気になった。むしろ22位明大吉川選手が定点間8位。平地の実績は素晴らしいだけに、2度目の山登りこそ、成功できるか、下位チームはこのあたりが注目でした。

定点間分析②:函嶺洞門~大平台

レース展開

6km青学若林選手19分15秒、歴史上の雨中でのレースに

城西櫛部監督「今井さんより5秒程いいタイム、今日は身体が動いている 大丈夫だ」
城西山本選手7㎞22分22秒

創価吉田選手、手袋を外す

7.0㎞大平台(定点間3.5㎞)
参考記録:81回今井(順大)<22分28秒>
区間記録:99回山本(城西)11分26秒<22分15秒>

2位若林(青学)11分42秒<2>22分33秒①
4位金子(駒大)11分53秒<3>22分39秒②1:33
1位山本(城西)11分29秒<1>22分21秒③3:23
14位緒方(東洋)12分16秒<8>23分12秒④4:31
18位上原(國學)12分31秒<17>23分38秒⑤5:20
7位工藤(早大)12分09秒<6>23分02秒⑥5:41
5位吉田(創価)12分05秒<5>22分54秒⑦7:10
21位尾崎(帝京)12分46秒<22>23分57秒⑧8:02
10位細迫(法大)12分12秒<14>23分25秒⑨8:42
3位菊地(大東)11分46秒<4>22分49秒⑩8:48
23位喜早(東海)12分52秒<23>24分00秒⑪8:59
8位石井(順大)12分11秒<11>23分16秒⑫9:13
8位山﨑(中大)12分11秒<10>23分14秒⑫9:13
20位大橋(日大)12分43秒<20>23分48秒⑭9:45
13位山本(国士)12分15秒<11>23分16秒⑮10:04
6位柴田(中学)12分08秒<8>23分12秒⑮10:04
11位山本(立大)12分14秒<13>23分23秒⑰10:23
16位弓削(山学)12分30秒<19>23分47秒⑱10:39
11位倉島(駿河)12分14秒<7>23分11秒⑲10:48
15位吉村(農大)12分25秒<16>23分37秒⑳11:45
22位大泉(神大)12分48秒<21>24分00秒㉑12:59
16位吉川(明大)12分30秒<15>23分31秒㉒14:25
18位三好(日体)12分31秒<18>23分40秒㉓15:01

城西山本選手が一気に突き抜け、青学若林選手もじわり
 本格的な上りに入り初めての最初の定点大平台。往路優勝争いということでは、やはり青学若林選手の天性の上り適正は光ってきました。この3.5km間で、駒大金子選手に11秒差をつけました。最初の中継所よりも開いてきました。駒大金子選手も11分53秒の定点4番目のタイムも、青学若林選手は、11分42秒の定点2位。じりじり引き離し始めました、

 彼ら2人を凌駕する勢いなのは、城西山本選手。11分29秒と、若林選手より13秒も早いタイムでの定点間トップのタイム!区間記録で見ても22分21秒で12秒早いタイムになっています。この時点では旧区間記録の今井選手よりも7秒早い。とはいえ、昨年の自身の記録よりは6秒遅い。まだ全力では出していないのだろう。

 昨年は、小涌園以降で脚が痙攣してタイムを落とさざるを得なかった部分があるので、69分台は十分出せるという事でした。今回は雨が降るなど、条件が違いますが、結果的に脚を溜めることにも繋がったかもしれません。個人タイムは非常に興味が湧く展開でした。

大東菊地選手が定点間3位すでに10位へ!中学柴田選手もまずまず
 この首位争いに近いタイムで上っていったのが、大東菊地選手。大東大の主力選手で長いロードで一定の力がある選手です。今年の全日本駅伝で、アンカーでシード権獲得のゴールを切っている選手ですが、前回の箱根山登り準備期間半月少しでぶっつけ山登りで区間13位好走した選手。

 今年は走力がが一つ上がって、さらに基本的に1年準備してきた中、この定点間11分46秒と3番目にあたる3位にランクイン。併走していた順大石井・中大山崎選手らを一気に突き放し、この定点間最下位と波に乗れなかった東海喜早選手も交わして早くも10位に浮上。さらに、3年連続山登り法大細迫選手も眼前に迫っていた。

 後方では、中学柴田選手がギアチェンジし定点間6位。一旦引き離された3年連続山登りの国士大山本選手に再び追いついて15位争いの力走。ここは、先ほど4区で好走した黒岩選手と思われていたものの、自力で勝ち取っただけある走りだ。前の争いから落ちてきた日大大橋選手が目の前近づきつつある状況だ。

 平地部分での好走組では、駿河倉橋選手が真ん中付近で踏ん張り、山学弓削選手を視界にとらえるところだが、明大吉川選手が一気に脚色が鈍ったのはちょっと心配な状況となった。それぞれ上りに入って状況が変わってきているのは確かなようだった。

定点間分析③:大平台~小涌園

レース展開

駒大藤田監督「お前の走りは出来るからな、最後まで絶対に諦めないからな」

宮ノ下9.3km:1位青学、2位駒大1分46秒差、3位城西3分16秒差

踏切10.7km、青学若林選手、腿を叩く仕草があったが…3分40秒を切るLAPをキープ
少しずつ駒大との差は開いていく

櫛部監督「もう相手は関係ない、昨年の自分を超えていけ」

7位創価吉田選手は10㎞34分08秒 昨年の区間記録よりは20秒以上遅れてる
榎木監督「ゴールでは志村主将が待っているぞ」

11.7㎞小涌園(定点間4.7㎞)
参考記録:81回今井(順大)16分46秒<39分14秒>
区間記録:99回山本(城西)17分04秒<39分19秒>

2位若林(青学)16分58秒<2>39分31秒①
3位金子(駒大)17分19秒<3>39分58秒②1:53
1位山本(城西)16分35秒<1>38分56秒③3:00
15位緒方(東洋)18分03秒<12>41分15秒④5:36
7位工藤(早大)17分39秒<6>40分41秒⑤6:22
14位上原(國學)18分00秒<17>41分38秒⑤6:22
4位吉田(創価)17分31秒<4>40分25秒⑦7:43
8位細迫(法大)17分42秒<10>41分07秒⑧9:26
6位菊地(大東)17分36秒<4>40分25秒⑧9:26
23位尾崎(帝京)18分56秒<23>42分53秒⑩9:59
9位石井(順大)17分44秒<9>41分00秒⑩9:59
15位山﨑(中大)18分03秒<14>41分17秒⑫10:17
5位山本(国士)17分33秒<7>40分49秒⑬10:39
20位喜早(東海)18分38秒<21>42分38秒⑬10:39
13位柴田(中学)17分58秒<11>41分10秒⑮11:04
19位山本(立大)18分22秒<12>41分15秒⑯11:17
10位弓削(山学)17分45秒<16>41分32秒⑰11:26
21位大橋(日大)18分49秒<20>42分37秒⑱11:36
11位倉島(駿河)17分47秒<8>40分58秒⑱11:36
17位吉村(農大)18分17秒<19>41分54秒⑳13:04
22位大泉(神大)18分53秒<22>42分49秒㉑14:54
17位吉川(明大)18分17秒<18>41分48秒㉒15:44
12位三好(日体)17分50秒<15>41分30秒㉓15:53

上位3位チームが抜け出る!68分台ペースの城西山本選手
 一番傾斜が急な宮ノ下を含むこの定点間。流れも少しはあるだろう。上位3チームが完全に抜け出た格好になりました。青学若林選手がこの定点間で駒大金子選手との差を21秒広げて、1分53秒差へ。往路優勝はほぼ決した形だ。とはいえ、離された金子選手も定点間3番。かなりいい走りをしていたのを気づくのはもう少し後だった。

 注目は3位城西山本選手。定点2番目青学若林選手の16分58秒よりも断トツで早い16分35秒。昨年の自身の17分04秒は勿論、今井選手の16分46秒よりも早い。先ほどまでは区間記録より遅れていたものの、ここで一気に20秒以上上回る記録となってきました。前回の自身の記録だけでなく、旧区間記録を上回る68分台、その可能性が出てきました。

早大工藤選手が健闘、創価吉田選手と國學院上原選手は伸びてない?
 4位東洋緒方選手を挟んで、後方5位が変わった。早大1年工藤選手がここまで区間6位の健闘で、一気に國學院大上原選手に追いついた。工藤選手は、高校時代からロードに定評があった選手ですが、秋シーズンは夏合宿の疲れもあり、出雲全日本は区間二けた、調子が心配だったが、調子は上げてきたようだ。

 逆に國學院大上原選手が、うまく走れず。出雲全日本前半区間で流れを作っていた選手ですが、雨の中の山登り、ここまで大苦戦の区間17位。総合6位に後退してしまった。その後ろ、創価吉田選手が気になるところでしたが、まだ差は1分20秒以上。区間4位で上っているものの、区間記録や自身の2年前の記録よりは遅れるタイム。大きくは伸びていなかった。

大東菊地&法大細迫選手の”奇跡の共闘の”始まり
 優勝争いや区間記録の裏で、もう一つ話題になったのが、大東菊地選手と法大細迫選手の共闘。大平台の直後、菊地選手が一旦追い抜いたものの、小涌園手前で苦しくなり、ちょうど細迫選手が追いついてきたところだったそうだ。

 ここで細迫選手が、「このままだと一緒にシード権を獲れない」と声をかけたそうで。ちょうど共闘が始まったところだった。ここまで区間最下位の帝京尾崎選手を一気に交わして、総合8位争いへ。定点間も区間一桁を保っていて、後方にはどんどん差をつけていけそうだ。

国士大山本選手が定点間5位好走!総合13位に浮上!
 後方から追い上げてくるのは、やはり3年連続山登りで、直近の激坂王で優勝していた山本選手。先ほど食らいついてきた中学柴田選手を突き放してギアチェンジ。急増山登りの東海喜早選手を捉えて13位に浮上。

 国士大の高順位は予想しておらず、2区までに出遅れてしまったので厳しいと思っていたが…、小涌園前後少しカーブがなくなるところがあるので、おそらく前の中大山崎選手も姿が見えたかもしれません。シード権が狙える位置まで追い上げられるか注目が集まった。

定点間分析④:小涌園~芦之湯

レース展開

雨が少し収まりつつある状況、青学若林選手動きが良くなったか

12.6km:大東菊地選手が6人抜きで8位浮上!法大細迫選手を交わす

城西山本選手は、昨年の自分より30秒以上早い
櫛部監督「今井よりいいぞ、68分台出るぞ!いくぞ唯翔!」

15.8㎞芦之湯(定点間4.1㎞)
参考記録:81回今井(順大)14分26秒<53分40秒>
区間記録:99回山本(城西)15分14秒<54分33秒>

2位若林(青学)14分57秒<2>54分28秒①
4位金子(駒大)15分13秒<3>55分11秒②2:09
1位山本(城西)14分56秒<1>53分52秒③2:59
14位緒方(東洋)15分53秒<14>57分08秒④6:32
13位工藤(早大)15分52秒<8>56分33秒⑤7:17
19位上原(國學)16分15秒<18>57分53秒⑥7:40
11位吉田(創価)15分48秒<5>56分13秒⑦8:34
6位菊地(大東)15分31秒<4>55分56秒⑧10:00
6位細迫(法大)15分31秒<9>56分38秒⑧10:00
12位石井(順大)15分49秒<10>56分49秒⑩10:51
9位山本(国士)15分36秒<6>56分25秒⑪11:18
16位山﨑(中大)16分05秒<16>57分22秒⑫11:25
22位尾崎(帝京)16分33秒<23>59分26秒⑬11:35
5位弓削(山学)15分23秒<12>56分55秒⑭11:52
3位山本(立大)15分09秒<11>56分54秒⑮11:59
21位喜早(東海)16分27秒<21>59分05秒⑯12:09
8位倉島(駿河)15分33秒<7>56分31秒⑰12:12
17位柴田(中学)16分11秒<15>57分21秒⑱12:18
18位大橋(日大)16分13秒<20>58分50秒⑲12:52
15位吉村(農大)15分58秒<17>57分52秒⑳14:05
9位三好(日体)15分36秒<13>57分06秒㉑16:32
23位大泉(神大)16分35秒<22>59分24秒㉑16:32
20位吉川(明大)16分18秒<19>58分06秒㉓17:05

3位城西山本選手、直線で2位駒大金子選手の姿を見る
 ここで山登り区間頂上となる芦之湯。応援がまばらになり、精神的にもきつくなってくる場面だ。ここも城西山本選手が定点間トップキープ。旧記録の今井選手はここを驚異的なタイムで走っているので、一気にタイム的には追いつかれたが、それ自身の前年より16秒早い14分56秒。

 昨年はこのあたりで脚が痙攣していて、69分台ペースからは遅れてしまったものの、今年は見事な走り。トップとの差2分59秒で、総合2位駒大が50秒差。この長い直線で少し姿が見えたことは、非常に勇気になったことでしょう。4位以降はもう3分以上離れていった。

立大山本選手が定点間3位!山学弓削選手とともに順位アップ!
 一気に差が付いていって、共闘している大東菊地・法大細迫選手でちょうと10分。ここで総合8位なので、一斉スタートが続出するのは確か。できるだけ前にいきたいところ、順大石井選手がやはり上り奮闘していて総合10位に浮上、ついで11位に国士山本選手が上がってきた。

 後方、さらに追い上げてくるチームが出てきていて、激坂王2位で名前を知った山学大弓削選手が本領発揮。小涌園以降は定点5番で走ってきて総合14位に浮上。序盤は最下位争いだった区間順位も12位に上がってきた。

 それを凌駕する勢いが立大山本選手。前回8区を走り1万m28分台をマークしていたが、箱根予選では失速するなど、今年は足踏みしている印象だったのですが、この定点間は3位の好走。東海喜早、中学柴田、日大大橋選手らを交わして、弓削選手の数秒後ろ15位。後方もかなり粘っていて、シード権争いが面白くなってきた。

定点間分析⑤:芦之湯~元箱根

手袋を重ねて給水
青学原監督「70分切れるぞ!」
若林選手も下りモードに切り替える

18.7㎞元箱根(定点間2.9㎞)
区間記録:99回山本(城西)8分50秒<63分23秒>

1位若林(青学)8分37秒<2>63分05秒①
6位金子(駒大)8分52秒<3>64分03秒②2:24
3位山本(城西)8分47秒<1>62分39秒③3:09
8位緒方(東洋)8分56秒<12>66分04秒④6:51
5位工藤(早大)8分50秒<6>65分23秒⑤7:30
17位上原(國學)9分13秒<17>67分06秒⑥8:16
20位吉田(創価)9分19秒<8>65分32秒⑦9:16
6位菊地(大東)8分52秒<4>64分48秒⑧10:15
11位細迫(法大)9分00秒<9>65分38秒⑨10:23
9位石井(順大)8分59秒<10>65分48秒⑩11:13
2位尾崎(帝京)8分45秒<21>68分11秒⑪11:43
15位山本(国士)9分04秒<7>65分29秒⑫11:45
11位山﨑(中大)9分00秒<15>66分22秒⑬11:48
14位弓削(山学)9分03秒<11>65分58秒⑭12:18
3位倉島(駿河)8分47秒<5>65分18秒⑮12:22
21位山本(立大)9分23秒<14>66分17秒⑯12:45
21位喜早(東海)9分23秒<22>68分28秒⑰12:55
19位柴田(中学)9分16秒<16>66分37秒⑱12:57
9位大橋(日大)8分59秒<19>67分49秒⑲13:14
18位吉村(農大)9分14秒<17>67分06秒⑳14:42
13位三好(日体)9分01秒<13>66分07秒㉑16:56
16位大泉(神大)9分09秒<23>68分33秒㉒17:04
23位吉川(明大)9分48秒<20>67分54秒㉓18:16

下りで爆発的な走り!青学若林選手が定点トップ!
 山登りの区間ですが、上りは芦之湯まで、この元箱根までの約3㎞は下りの区間。それまでの上りで、既に疲労していること。上りは得意でも、必ずしも下りは得意ではないこともあり、ここで大きく差が付くことがあります。

 その中、一番早かったのは…先頭を走る青学若林選手。8分37秒は、3㎞弱ですが後続に10秒20秒と差をつけるタイム。さらにここにきて前回の山本選手の区間記録を上回る63分05秒。69分台で走りきりそうだった。

 城西山本選手も3番目となる8分47秒とまずまずの下り。前回よりも少しまた早くなっていて、44秒の区間記録の貯金。目下、今井選手の記録に届くかどうか、際どいところとなっていました。

下りで復活!区間最下位争いの帝京尾崎選手が定点2位!
 この他上位では、東洋緒方選手が下りで切り替えて定点8位。早大工藤選手はここでも調子キープ。逆に國學院大上原選手、創価吉田選手が失速。吉田選手は急落でちょっと心配な落ち方でした。

 シード権争いも、15㎞以降大きく動きます。11位国士大山本選手を、帝京大尾﨑選手が逆転!帝京大は山登りは基本的に準備しないチーム。ロードで手堅い走りを見せていた尾崎選手を今回抜擢するも、ここまで区間最下位争い、

 一気にシード圏外に去るかもしれないところでしたが、下りに入って定点2位と猛チャージ!やっぱり何かただでは帝京大は終わらないチームだ。

駿河台大倉島選手が定点3位!日体大が最下位脱出
 下位では、最初の平地で突っ込み気味だった駿河台大倉島選手が定点間3位好走!上りの部分も区間中位で踏ん張っていましたが、下りに入ってまだ余力がありました。息切れした立大山本・東海喜早・中爆柴田選手ら一気に置き去りにして総合15位に浮上。山学弓削選手に迫ってきました。

 また1区から最後方だった日体大が、5区山登り三好選手が頑張って区間中位。ようやく最下位脱出した。元々エース格の2年山崎選手を起用する予定だった中、最初で最後の箱根駅伝ここは大健闘か。22位ここまで区間最下位の神大大泉選手、今回も失速してしまった明大吉川選手が最下位、少しでも踏ん張りたかった。

定点間分析⑥:元箱根~芦ノ湖FINISH

残り1㎞
青学原監督「城西山本君にちょっと負けてるんだよ
区間賞獲っているよ!
9分30秒を切っていくよ
2区3区4区と区間賞獲ったから、若林もいこう!
若の神から山の神になれるぞ!」

8位大東菊地選手、法大細迫選手を突き放す

20.8㎞芦ノ湖FINISH(定点間2.1㎞)
参考記録:81回今井(順大)<69分12秒>
区間記録:99回山本(城西)6分41秒<70分04秒>

1位若林(青学)6分27秒<2>69分32秒①
3位金子(駒大)6分41秒<3>70分44秒②2:38
2位山本(城西)6分35秒<1>69分14秒③3:17
4位緒方(東洋)6分42秒<10>72分46秒④7:06
6位工藤(早大)6分49秒<6>72分12秒⑤7:52
18位上原(國學)7分05秒<17>74分11秒⑥8:54
20位吉田(創価)7分06秒<9>72分38秒⑦9:55
10位菊地(大東)6分53秒<4>71分47秒⑧10:41
12位細迫(法大)6分54秒<8>72分32秒⑨10:50
22位石井(順大)7分18秒<13>73分06秒⑩12:04
6位山本(国士)6分49秒<7>72分18秒⑪12:07
12位尾崎(帝京)6分54秒<20>75分05秒⑫12:10
16位山﨑(中大)7分01秒<14>73分23秒⑬12:22
5位倉島(駿河)6分43秒<5>72分01秒⑭12:38
16位弓削(山学)7分01秒<11>72分59秒⑮12:52
9位喜早(東海)6分52秒<22>75分20秒⑯13:20
20位山本(立大)7分06秒<14>73分23秒⑰13:24
14位柴田(中学)6分59秒<16>73分36秒⑱13:29
8位大橋(日大)6分51秒<19>74分40秒⑲13:38
18位吉村(農大)7分05秒<17>74分11秒⑳15:20
10位三好(日体)6分53秒<12>73分00秒㉑17:22
15位大泉(神大)7分00秒<23>75分33秒㉒17:37
23位吉川(明大)7分19秒<21>75分13秒㉓19:08

最後も青学若林選手が断トツ!往路優勝を飾る!
 颯爽と駆け下りてきた青学若林選手。最後の平地は1万m28分前半を誇る走力は強く、6分27秒は断トツのタイム。故障など長く不調で苦しんでいましたが、全日本1区で途中で飛び出したレース以降、何か吹っ切れたように調子が上がってきていました。

 結果的に、区間記録を32秒上回る69分32秒の大変な高パフォーマンス。2区3区4区と区間記録にも迫る区間記録が出て、さらに若林選手のこのタイムに、総合5時間18分13秒と、初めて5時間20分を切るタイム。駒大藤田監督も「想定は5時間20分までだった」と脱帽するしかないタイムでした。

駒大金子選手も大健闘!城西大山本選手神の記録に2秒!
 ここから2分38秒差で、往路2位のゴールをした駒大金子選手はすべて出し切って倒れ込みました。タイム70分44秒は、2大会前の自身の記録を上回り、今大会区間3位のタイム。さらに、前回の山川選手の記録を1秒上回るタイムで走ってきた。藤田監督が「あきらめない姿勢は金子選手で示した」という場面。

 この頑張り、山の神ペースでここまでやってきた城西山本選手も大きくは詰め寄ることはできず、往路3位と順位はそのままでのゴール。とはいえ、城西大は往路過去最高順位となる3位。出雲駅伝でも、3位に入りましたが、往路4区間がほぼ完ぺきだったうえで、山本選手が区間新記録だ。

 結果的に69分14秒は、今井選手の記録に2秒及ばなかったものの、当時は函嶺洞門を直線で通過。今は老朽化のために、迂回路を走っているため、僅かに今の方が走行距離は長い。報道では山の神のあと2秒となったが、櫛部監督「十分山の神レベルの記録です」と認めるものでした。

上位は概ね健闘、大東菊地・法大細迫選手の併走は最後まで
 このあと次の選手がやってくるのは約4分近く、トップとは7分以上の大差。前3チームの争いがそれほど高レベルだった。東洋大の主力の一角、緒方選手がやや苦戦しつつも下りで巻き返して72分台でまとめる区間10位、往路4位は予想をはるかに超える成績っだった。

 5位早大は、前回好走者の伊藤・佐藤選手が、この時点での出走がなかった中、エースの力や大役者が踏ん張った。工藤選手も、花田監督名付けた”山の名探偵”の名に相応しい72分12秒の区間6位。秋シーズン順調さに欠いた中でのこと、4年間このまま走ることになれば今後楽しみな存在。

 6位國學院大と7位創価大までが、時差スタート内。両チームとも、山登りがうまくいかなかった中、何とか踏ん張った形だ。創価大吉田選手は、タフな区間や天候が得意ですが、寒さだけは苦手だったよう。雨が応えてしまったよう。それでも72分台では走った。最後の年となる次は、ある意味チャレンジャーとして挑んでほしいと思う選手。

 これ以降は時差スタート。3区と5区で大幅に後方との差が開いた形だ。8位争いは大東菊地・法大細迫選手の争いでしたが、最後は菊地選手が僅かに先着。菊地選手は区間4位の71分47秒で、14位から6人抜きとなる8位へ浮上。9年ぶりシード権に向けて一桁ターン。真名子監督の、シード権が見える位置まで5区で上がれればの想定を上回った。

 併走協力してくれた法大細迫選手にゴール後、抱擁しにいったシーンは話題になりましたが、細迫選手も大きく得をしていた。細迫選手は終盤の下りがとても苦手、過去2年も15㎞までは区間一桁ペースも、下りで大きく順位を落としていた。今回下りから菊地選手に引っ張ってもらって、念願の区間一桁となる8位。往路も9位で後方少し貯金を作ることに成功していました。

10位順大石井選手に多くの選手が詰め寄った最後の2㎞
 その後ろ、先頭と12分ほど差が付いて10位走行の順大石井選手がやってきたが、その後ろが大混戦。石井選手が最後の2㎞かなり苦戦してしまい定点間22位。ラストスパートをかけた後ろのチームが全員詰め寄ってきていた。

 最後のスパートでもうひと伸びした国士山本選手が、ゴール直前で帝京尾崎選手を逆転して、順大石井選手に3秒差まで迫ってゴール。往路11位は88回大会以来の好成績でのゴール。比較的選手層は厚いだけに復路注目の存在に。3秒差で続いた帝京大は7区以降は分厚い戦力、山登りも終盤は粘ってシード権と6秒差で凌いだ。

 13位は、優勝候補の一角中央大、山崎選手が疲れた形でゴール。この直後、12月下旬にエントリー選手が続々と熱発。最終的に箱根エントリーの16人中14人が熱発、棄権も真剣に考えたほどだった。最終的に4区湯浅選手と7区吉居駿選手だけが好調キープ、ここで何とかシード権入りしたいところだが…

 14位以降も続々と選手がやってきた。まさか区間5位で走り切った駿河台大倉島選手が往路14位でゴール。徳本監督は、往路の目標をシード権まで1分以内でのゴールとしていましたが、貯金を目論んだ1区で誤算があった中、5区山登りが嬉しい誤算となった。15位はやはり山の適正があった弓削選手が踏ん張った山学大。予選下位通過の2チームがここまで頑張っている。

 16位に、4区から急落してしまった東海大喜早選手。高校時代有力選手でしたが、苦しんだ大学4年間。残り1週間になってから急に山に指名された中での走りに。とはいえ最後の2㎞は意地見せて定点間9位。シード権とは1分16秒差にとどめました。

 直後、17位立大山本選手に、18位中学柴田選手がゴール。さらに往路3区まで4位だった日大が往路19位。力不足だったが、大橋選手がこちらも最後の2㎞意地を見せて定点間8位。シード権との差は1分34秒に留まった。しかも復路は一斉スタート、史上まれにみる大混戦のシード権争いになりそうだった。

 これ以降は少し離れてのゴール。10年ぶり出場の東農大が往路20位。5区山登り吉村選手は一定のペースでは走り続け区間17位と踏ん張った。21位三好選手が頑張った日体大、直後にこちらも体調不良者が続出したらしい神大が22位。

 まさかの往路最下位、最後かなり苦しい走りとなった明大吉川選手がゴール。1区好スタートだったものの、2区以降で区間20位以下が3つ出てしまった。ある程度主力で組めたはずですが、本当にまさかの結果。比較的得意な復路に向けて、切り替えるしかなくなった。

 駒大が力を出した中、青学大がそれ以上に強烈な走りで、断トツの往路新記録。これにより4位以降は大きく差が開き、往路8位以降はトップとの差が10分以上に。16校が復路一斉スタート。シード権争い前後はチームが集まっていて、中位は大混戦のまま復路スタートとなりました。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。

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