箱根駅伝2024(第100回)へ向けて【駒澤大・青山学院大】全日本駅伝の振り返りとともに

出雲駅伝・全日本大学駅伝が終わって、いよいよ箱根駅伝モードになってきますね。

各関東地区の大学の、
前哨戦(出雲・全日本・箱根予選)を振り返っていきたいと思います。

そのうえで、今季のチームの特徴や、山など箱根に向けて
駅伝ファンとして思うことを記載していきます。

まずは、なんと2年連続大学駅伝3冠についに王手!!
駒澤大学

それと、やっぱり総合力でのし上がってきた
青山学院大学です。

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【駒澤大学】箱根駅伝2024(第100回)へ向けて

 出雲駅伝の詳細は、全日本駅伝予想の際に行っているので詳しくは省略しますが、、、

https://hakonankit-fd.com/article/post-22038.html

 調子が上がり切っていなかったという1区篠原選手が、ハイペースの中競り合いの強さを発揮して、結果他校を振り切って区間賞!そのまま2区佐藤選手区間賞、3区山川選手が日本人トップの区間3位で、ここで2位に1分近く差をつける独走状態へ!

 アンカー絶好調だった4年生エース鈴木選手も、手を緩めず日本人最高記録での区間賞!ここでもう”2年連続3冠”の予想をした方も多かったのではないでしょうか。

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全日本大学駅伝2022振り返り

 出雲駅伝完勝から、さらに全日本大学駅伝もほとんどの駅伝ファンが総合優勝を予想したのではないでしょうか。

 オーダーも、暫定の時点で2区佐藤・7区鈴木・8区山川選手と主力選手が、重要区間に入っていて盤石の態勢。そして当日に前半のエース区間3区篠原選手、6区は3年連続安原選手。花尾選手が見れませんでしたが、現時点では一番安心できるオーダーでした。

1位駒澤大学5:09:00

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区9.5㎞ 🥇 赤津勇進④ 27分19秒 1位 -1秒差
2区11.1㎞ 🥇 佐藤圭汰② 31分01秒[新] 1位 -16秒差
3区11.9㎞ 🥈 篠原倖太朗③ 33分39秒 1位 -1分00秒差
4区11.8㎞ 🥈 赤星雄斗④ 34分26秒 1位 -1分22秒差
5区12.4㎞ 🥈 伊藤蒼唯② 35分56秒 1位 -1分55秒差
6区12.8㎞ 🥇 安原太陽④ 37分16秒 1位 -2分21秒差
7区17.6㎞ 🥉 鈴木芽吹④ 51分13秒 1位 -2分49秒差
8区19.7㎞ 🥇 山川拓馬② 58分10秒 1位 -3分34秒差

1区赤津選手…4年生赤津選手が区間オーダーに入ってきたのは感慨深かったですね。1年時から1万m28分半ばを出していた半面、中々駅伝メンバーに入らず。2年時の出雲5区でようやくデビューするも、区間下位。どうやらロードが苦手だったようです。

 それでも、昨年の上尾ハーフで63分を切るなど、少しずついい記録が出るようになっていました。今年もロードレースやトラックのレースもコンスタントに記録を残している中で、2年ぶりの大学駅伝でした。

 集団の中で待機し、中盤で青学大が、終盤に早大が仕掛けてもまだまだ待機。3番手付近でじわじわ前を追い上げると、本当にギアをあげたのは残り200m付近。そこから早大との激しいたたき合いを制して、区間賞!最高の形で、優勝へ向けてスタートを切りました。

2区佐藤選手…出雲・全日本2区の鬼と化している佐藤選手。序盤から突っ込んでいくので強いのですよね。佐藤選手本人は、昨年の全日本2区は僅かに区間2位になったこと、それと出雲は連戦だったとはいえ区間賞タイになったことへのリベンジを兼ねていました。

 最初の1㎞2分37秒、3㎞8分10秒の非常に速いペースで通過。監督も早すぎると思うくらいのハイペース。混戦でしたが、1秒後ろだった早大がついてきた以外は、5㎞地点で100m以上の差がついていました。

 それでもこのまま押し切れるのが佐藤選手の凄いところ。7㎞までには単独先頭に浮上すると、青学大らが追い上げようとしますが、それを許さず。2位に16秒差をつけて中継所につなぎます。個人としても31分01秒の区間新!見事に突き抜けました。

3区篠原選手…駒大のエース選手の一人3年篠原選手が、当日変更で3区へ。出雲駅伝では調子が上がっていなかった中でも区間賞。この篠原選手にトップで襷が渡った地点で、やっぱり駒澤大が優勝だなと確信した方も多かったでしょう。

 最初の1㎞は2分47秒と落ち着いたペースだったので、2位に上がった早大が2.5km地点で10秒差まで詰め寄ってくる。でしたが、そこからずっと早いペースを維持。5㎞を14分01秒で通過すると、後続は少しずつ遠くなっていった。その後もギアを緩めず、トップ中継。区間賞こそ城西大の留学生選手に譲ったものの、2位に浮上した青学大と1分00秒まで差を広げました。

4区赤星選手…当日変更が非常に多いことで知られている4年赤星選手。出雲駅伝も5区に入って、全チームで唯一の当日変更。でしたが、出雲市陸協で全体トップでいい仕上がりだったことは確認済み。春は関東IC2部ハーフで優勝を遂げるなど、ロードで着々と鍛えていました。

 最初の1㎞2分47秒、5㎞14分27秒と淡々と刻んでいく走り。後方2位以降はほぼ見えなくなりました。藤田監督は「暑さが少し苦手」というのが少し心配だったそう。終盤、表情は険しくなりましたが、最後まで安定した走りでトップ中継。区間2位と、3度目の大学駅伝で最高の成績。区間賞で2位に上がった城西大と1分22秒の差がついていました。

5区伊藤選手…箱根山下り区間賞で鮮烈なデビューを飾っていた伊藤選手。その後も関東IC2部1万m8位と出雲駅伝4区3位とコンスタントに成績を残していました。本人は出雲の区間3位で、全日本出られるか…と話していましたが、やはり伊藤選手のスピードは、大学駅伝に欠かせませんでした。

 最初の1㎞は2分58秒、気温が20度を超えてきたこともあり、序盤は慎重な入りでしたが、後続が詰まってくる様子はありません。実際10㎞も29分を切るペースで走っていて、これを上回ったのは、下位から区間新で爆走した創価大のみ。区間2位の安定した走りでトップ中継。2位争いは過熱していましたが、1分55秒差まで開きました。

6区安原選手…2年時出雲駅伝以降、全ての大学駅伝で出走を続けている4年安原選手。全日本駅伝は3年連続6区、スピードある安原選手の繋ぎ6区起用は他校からするとやはり驚異的です。今年は5千m13分40秒を切る成績、走力を伸ばした安原選手が悠々逃げていくことは想像できました。

 気温の上昇がある中、1㎞2分54秒ほどのまずまずのLAPを刻んでいきます。なお5区終了地点で、前年の大会記録から9秒遅れているだけということでかなりのペースで駒大が進んでいきます。安原選手も区間記録に近いペースで走り切り、見事に区間賞!まだ大会記録が狙っていけるタイムで走り切りました。

7区鈴木選手…この7区に4年生エース鈴木選手を投入。前年まで先輩田澤選手が走って、とてつもない区間新記録を出していた区間ですね。今年は怪我無く充実した練習ができていた鈴木選手は、高い気温も躊躇なくこの記録を狙っていきます。

 最初の1㎞2分42秒の突っ込みは、スタジオにいた田澤選手も「僕は抑えましたよ」と苦笑するほど。5㎞14分01秒で通過するあたりまで、狙える位置。10㎞28分30秒通過で、区間記録から20秒遅れでした。ここからは暑さで厳しくなってしまい、最終的に区間記録から1分半遅れで中継。最後の最後に区間賞も逃しての区間3位でしたが、狙った走りも面白かったです。

8区山川選手…前年花尾選手がヴィクトリーロードを突き進んだアンカー。その花尾選手もだいぶ準備が整っていましたが、1週間前僅かに体調を崩したということで、今ロードで伸び盛りの2年山川選手がアンカーへ。出雲駅伝3区も向かい風のタフな条件の中で、どんどん引き離していきました。気温が高い条件で、非常に有利なのは目に見えていました。

 距離が一番長い区間ので、刻んでいく走りでしたが、それでも7㎞20分38秒と、1㎞3分は切っていく形。渡会橋までは、駒大を含め上位4チームとほぼ同タイムくらいでした。そこから、2位争いが白熱して山川選手のシーンが少ないのですが…なんとゴールでは2位争いを40秒以上突き放して断トツの区間賞!後半少し上っているというのが、山川選手に有利に働いたでしょうか。出雲・全日本圧勝劇に、花を添える走りでした。

 気が付けば、今年の箱根駅伝4区で鈴木選手が、青学大との激しいつばぜり合いを制してトップ中継してから、ずっと首位中継を続けてきているのですよね。駒大の強さ、恐ろしや…

箱根駅伝2024(第100回)へ【エース・山・選手層】

 出雲・全日本危なげなく連覇し、否応なしにも、大学駅伝史上初の”2年連続大学駅伝3冠”偉業を成し遂げるのかどうか、というのがちらほらと聞こえてくるのかもしれません。

 駒大はここまでそのプレッシャーを過剰に意識しすぎないように、出雲駅伝2023・全日本大学駅伝2023と一戦必勝で戦ってきています。そして、総合で昨年の自分たちを超えようというのも、うまくメンタル面にいいように作用しているような?

 ここからの2か月間、どのくらい自分たちの戦いに勝っていけるか分かりませんが、とにかく、現時点での総合力を見ていきましょう。

エースの強さ

 まず走力面で4年鈴木選手が凄まじいですよね。2年時に1万m27分40秒少しで走った逸材ですが、あの時は良くも悪くも強い先輩を追いかけていて、記録も一気に伸びましたが、故障も非常に多くなっていました。

 今は、チームを引っ張るために、毎日継続して練習を続けるということに気を配っていて、4年間で最高の練習ができているそうです。それが出雲駅伝での快走に繋がっているそうです。

 全日本大学駅伝は、区間記録を意識しすぎて、暑い中突っ込み過ぎましたが、最後の箱根駅伝に向けて牙を研ぎ澄ませていますかね。基本的には、最初で最後の華のエース区間2区を狙ってきます。

 そして、駅伝男と言われる選手が、出雲・全日本駅伝の前半区間で大活躍しているのですよね。それも、それぞれ色が違います。

 一人目は、3年生篠原選手。彼の場合は、同等以上の選手と競り合うと本当に強い強い…。個人レースでも、丸亀ハーフや春のトラックレースで学生の域を超えるくらいの自己ベストを出していましたし、

 出雲駅伝では、調子が上がっていなかったのですが、海外選手が繰り出すハイペースに対抗して、最終的に全員ちぎる区間賞獲得は、彼の強さを物語っていると思います。思えば、前回の箱根駅伝往路3区も、青学勢に食いついていましたね。

 勿論、単独走もできますが、本当に往路序盤向きになります。鈴木選手がいるので悩みどころですが、留学生も走ってくる2区が、箱根駅伝では向いているような気がしますが、いかがでしょう?

 そして、もう一人、出雲・全日本駅伝においては、2年連続MVPといっていい走りをしている2年佐藤選手。当時の5000m高校日本記録保持者として駒大へ入部。トラック1500mや5000mで世界を目指しているのですが、ロードも本当に強い。

 最初の1㎞2分40秒を切るハイペースで突っ込んで、ロード5㎞~10㎞くらいなら、そのまま突っ切ることができる、これを2区あたりだと、本当にドンピシャで強い。まだまだ混戦の中、一気に優位に立つことができます。あの圧勝劇は彼が生んでいるとっても過言ではありません。

 ハーフマラソンになると、全く実績はなく、走れが今回の箱根駅伝が初となります。出雲・全日本までの破壊力はないのではと言われ、他校がつくとすると、ここではないかと言われていますが…

 それでも、ここにきて佐藤選手本人から「2区・5区・6区以外なら」というコメントも。彼の走りが活きそうなのは、3区か7区な気がしますが、3区で61分台出せるところまでスタミナがついているなら、他校もお手上げでしょうか。

 この3人が往路で万全な状態でオーダーに入るようなら、他校が上回るのは難しいのではないでしょうか。

山登り・山下り

 これに山登り・山下りも、ほぼ万全なんですよね。特に差が付きやすいと言われる山登りに、”駅伝男”がおそらく入るでしょう。

 それは2年山川選手。前年も、当時ルーキーながら山登りを担って、70分45秒とハイレベルなタイムで区間4位。猛追する中央大を、”苦手だった”という下りで振り切ったという、強い精神力の持ち主。

 長距離ロードとタフな気象条件が得意ということで、出雲駅伝と全日本大学駅伝は、主要区間を担当。出雲3区は向かい風の中、後続に差をつけ、全日本8区は高温の中後半の上り部分で区間賞争いに決着をつけました。

 これだけ充実している選手が、2度目の山登りに挑みます。山が特別得意とかではない中で、70分前後では走ってきてもおかしくないのではないでしょうか。

 山下りは、前年全体的にタイムが伸び悩む中、当時ルーキーながら58分22秒の区間賞で、復路のスタートダッシュを切った伊藤選手がいます。

 今年は、関東IC1万m8位、出雲・全日本も4区3位と5区2位と堅実に成績を残しています。ここ最近、全体的に2度目の山下りが伸びないのが気がかりですが、それでも58分半はくると思います。他校が57分台出す選手を見出せない限りはここも盤石かなぁ。

 なお、万が一の時の控えとして、駒大はもう一人山登り経験者がいて、前々回5区4位71分19秒で上っている4年金子選手がいて、これもレベルが高いです。

 基本、復路平地を狙っているみたいですが、もし往路の柱が誰か走れないとなった時に、山川選手を4区にして金子選手5区緊急再登板とかもできるわけですね。彼も単独走で絞り出す走りができます。

 山下りは分かりませんが、前回大会でいえば、2年帰山選手が一時内定するくらい適性があったそうです(残り1週間で伊藤選手が絶好調になったとか)。

 また、主力選手でも、下りが比較的得意な選手としては安原選手もいますかね??余談ですが、前々回当時1年生の篠原選手が、故障明けじゃなければ走ったかもしれない…。さすがにないですが、いくらでも、オーダーは組みかえられそうです。

選手層の厚さ

 中堅どころも豊富ですが、やっぱり気になるのは、4年花尾選手の存在ではないでしょうか。1年時から全日本・箱根を走って総合優勝に貢献、3年時の出雲・全日本はほぼエースに成長していました。

 でしたが、箱根前に体調不良に陥って走れず、そこから故障などもあって苦労していました。それでも全日本駅伝は走ってもおかしくない状態まで仕上がっていたそうです。軽い体調不良で見送ったそうですが、気温が高くなったことを考えたら、良い判断だった…と思います。

 花尾選手が万全なら、今の駒大なら9区か10区ではないでしょうか。この1年苦労した花尾選手の10区笑顔でゴールテープを…という駅伝ファンの願いはあると思いますが、

 実は、3年連続復路のエース区間9区を務めていた山野選手の穴が地味に大きいなと感じています。安原・赤星選手らでもいいのですが、なんだかしっくりこないというか…。全日本アンカー区間賞経験の花尾選手が9区に入れば、ガチッとはまる気がします。

 その、安原・赤星選手も充実。安原選手はスピードを中心に総合力磨きがかかり、全日本駅伝では3年連続となった6区で初の区間賞。9区でも行けそうですが、やはり7区で最初の下りでガツンと引き離して、最後の3㎞でもう一度あげるのがあってそうな?

 それから、補欠が多かった赤星選手も、安定感のレベルが上がって駅伝起用が増えてきましたね。前回出走した8区でもいいですし、前回10区の青柿選手がなかなか試合に出ないので、ここでもいいのかもしれません。

 他にも4年生によるレギュラー争いが激しい。唯一1区が空いていたのですが、全日本駅伝で赤津選手が区間賞。トラックのスピードは1年時から抜群の選手。ロードが苦手でしたが、これで自信を持って箱根1区を迎えられるか。

 なお、箱根1区は他にも2名経験者がいて、3大会前当時1年で起用された白鳥選手は、今回の全日本出走ボーダーまで調子を上げていました。彼も涼しい方が強いので十分1区はあり。

 それから、2大会前超高速レースとなった中で区間3位好走の唐澤選手は、1万m27分台の走力があるので復帰待ち遠しい選手。順調なら、箱根は間違いなくメンバー入りしてくるとのこと。1区のイメージが強いですが、アップダウンのある区間も高校時代こなしているので、他区間もあるでしょうか。

 他にも、今年ハーフマラソンで結果を残している3年庭瀬選手、それに全日本駅伝では小山・安原海・小松選手ら1年生が5人もエントリー!16人の枠にこれだけ入っているので、本当はここまで選手層が厚くなってなければ、起用されているのかも…。

 4年生のレギュラーの壁は高いですが、練習の過程で上尾ハーフ61分台や、日体大記録会1万m28分前半を出す選手がいると、サプライズ起用があるかもしれません。

まとめ

・鈴木選手と篠原選手!と佐藤選手も柱になるか!?
・山は、前年の山川&伊藤選手が順調に来ている
・花尾選手復活間近!?他、安原選手ら激しい4年生のレギュラー争い

 まあ、万全なら強いですよね。1万m27分台の走力で圧倒する4年鈴木選手に、競り合いでどんどん強くなる3年篠原選手、これに出雲・全日本の距離なら、ある意味一番のエースだった2年佐藤選手も、どうやら距離対応できそうな雰囲気になっています。

 仮にそこまでの爆発力がなくても、駒大は、山もある程度自信がありますし、選手層も非常に分厚いです。特に差のつきやすい山登りは、駅伝男となってきた2年山川選手がいますし、下りも前回区間賞の伊藤選手がまずまず順調です。

 全日本に出場していなかった主力選手としては、花尾選手が完全復活間近まで調子を上げてきていたそうです。他にも過去箱根出走している白鳥・唐澤・金子選手らも状態を上げつつありますね。

 これに、今回の全日本駅伝で結果を出した赤津選手に、ずっと中盤区間を担い続けている安原・赤星選手らもいます。1年生も本当は起用したい選手もいるようです。

 もしかすると、優勝した昨年よりも、完成度が高いそんなチームになっているかもしれません。それは第100回箱根駅伝で、楽しみにしたいところです。

【青山学院大学】箱根駅伝2024(第100回)へ向けて

まず、5位に終わった出雲駅伝の詳細はこちら

https://hakonankit-fd.com/article/post-22024.html

 5千m13分30秒台ベストの選手を並べて、優勝を狙いますが、個人個人仕上がりに差があった感じですかね。もともと世代最強3年生世代から野村・鶴川選手が1区と6区で、ついに大学駅伝デビューを飾りますが、チームを上位に導くというところにはいかず。

その中で、2区区間賞の黒田選手が、大幅に順位をあげての駅伝走りができたという合格点。また4区区間賞の山内選手らも、全日本大学駅伝への出場を決めました。

全日本大学駅伝2023振り返り

 ここからメンバーを入れ替えた青山学院大。暫定オーダーの時点で、出雲後に脚に痛みが出た3年野村・鶴川選手を外して、過去に駅伝好走経験のある4年佐藤・3年若林&太田選手を、当日変更で起用することを、原監督は明言していました。

2位青山学院大学5:12:34

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区9.5㎞ 8位 若林宏樹③ 27分27秒 8位 8秒差
2区11.1㎞ 🥈 黒田朝日② 31分11秒 4位 30秒差
3区11.9㎞ 8位 佐藤一世④ 34分23秒 2位 1分00秒差
4区11.8㎞ 7位 小原 響④ 35分05秒 4位 1分39秒差
5区12.4㎞ 4位 山内健登④ 36分12秒 2位 1分55秒差
6区12.8㎞ 🥉 荒巻朋熙② 37分42秒 2位 2分21秒差
7区17.6㎞ 5位 太田蒼生③ 51分41秒 2位 2分49秒差
8区19.7㎞ 🥉 田中悠登③ 58分55秒 2位 3分34秒差

1区若林選手…暫定オーダー発表前に、この配置を予想するのはちょっと難しかったですね。1年時に箱根駅伝5区山登り70分台の走りで、チームを優勝に導く走りをした、3年若林選手をスピード区間の1区。勿論スピード自体はあるのですが、ずっと順風満帆にきているわけではありませんでした。2年時は故障、箱根には間に合いそうなところ、前日にインフルエンザで出走できず。

 そして、今回も直前に発熱があったそうです。ただ、今回は原監督が、メンタル面の問題だと見抜き、予定通りの起用となりました。4km過ぎという、誰も予想付かないところで一気に飛び出していったのは驚きましたが、一つ気を吐く走りでした。残り500mで追いつかれましたが、そこから大差はつかず。区間8位ながら、トップと8秒差で繋ぎました。

2区黒田選手…2区は、出雲駅伝2区区間賞タイで、売り出し中の2年黒田選手。チームの順位を引き上げて、格上と思われた駒大佐藤選手と同タイムだったのは、とても価値が高いものでした。今回も、流れを引き寄せるために、2区抜擢、そしてまた駒大佐藤選手らとの対決になりました。

 前が点々としている状況、少しずつ捉えていきます。5㎞までに東国大アモス選手や中大中野選手たちにも追いついて3位争いを展開します。トップの駒大とは17秒差となっていましたが、黒田選手も5㎞13分56秒で突っ込んでいました。7㎞あたりから3位集団を引っ張り、9kmでトップ争いから落ちた早大を捉えて2位浮上!31分11秒と従来の区間記録を更新しての区間2位!駒大との差は16秒で、今回も食い下がりました。

3区佐藤選手…当日変更で4年生佐藤選手が投入。もともと駅伝男と言われていた選手で、前回も区間2位好走で流れに乗せていました。ただ、出雲駅伝でやや身体が重そうなのが気がかりでした。今回も出足はよくなく、すぐに早大に抜かれて3位に下がると、そのまま離れていきます。5㎞までには、中継所で18秒後方だった中大吉居大選手に追いつかれ、そこからさらに農大・帝京大に追いつかれ4人による3位争いに。7.4km地点でトップと55秒差に2位早大と19秒差と開いていました。

 それでも、ただでは終わらないのが4年生エース。8kmあたりから始まったスパート争いに勝って、単独3位へ!そして、中継所直前で一旦抜かれていた早大を交わして浮上。区間8位の走りで、トップと1分差になって総合優勝は厳しくなりましたが、総合2位キープで上位の流れには、何とか継続しました。

4区小原選手…全日本前から、原監督から絶好調と言われていた4年小原選手。3000m障害で日本トップと戦っていく実力をつけつつありましたが、大学駅伝は未経験でした。初の大学駅伝は、全日本4区、ここもスピード区間でエース格の選手が集まっているところです。

 すぐ後ろにいた早大工藤選手が前に出て、付いていく形で2位争いを展開。5㎞は約14分30秒程でした。このあたりから後方の追い上げに合い、7㎞で中大溜池選手が追い抜いていき、9kmほどには城西齋藤選手が追いついてきて、総合4位に後退。それでも懸命に粘って区間7位。2位にあがった城西大と17秒の差の4位でタスキを繋ぎます。

5区山内選手…1500mで関東ICで活躍が目立つ4年山内選手ですが、大学駅伝は1年時に全日本6区の苦い思い出がありました。その時は、チームの順位を落として流れを止めてしまいました。出雲でそれ以来の駅伝で、何とか粘って区間賞。原監督からの、合格点は出ませんでしたが、スピードも必要な5区での出走となりました。

 3㎞ほどで5秒ほどあった中大本間選手との差を埋め、2人で2位城西大を追いかけていきます。5㎞過ぎには中大を突き放して、城西大を捉える形で2位に浮上します。残り3㎞あたりで身体がブレて苦しそうな走りになりますが、必死に粘ります。後方、國学院大青木選手が迫ってきますが、何とか逃げ切って襷リレー。区間4位ながら、総合2位に再浮上します。

6区荒巻選手…2年荒巻選手が、大学駅伝デビュー。前年の箱根も16人のメンバーには入っていましたが、その時は走れず。今回はチャンスをものにしましたね。走り始めから大粒な汗をかいて、少しフォームがブレているように見えましたが、しっかり突っ込んで走った模様。

 トップ駒大が実力者だったので、その差は少しずつ開いていきますが、3位争いの國学院大と中大とは少しずつ差を広げていきます。最終的に区間3位と上々のデビュー。3位争いとは、40秒前後まで差を広げて、2位争い大いに優位に立ちました。

7区太田選手…当日変更3枚目、切り札として入ったのは、3年太田選手。”箱根駅伝男”として有名で、1年時は3区で、2年時は4区でチームをトップ争いに引き上げている選手です。故障などもあり、箱根駅伝以外の大学駅伝に登場するのは、今回が初めてでした。とはいえ、トップ駒大は2分20秒前と、全く見えない完全に単独走という状況。気温も上がってきていました。

 それでも10㎞28分50秒ほどのペースで入っていき、しっかりと主要区間を走っていきます。このあたりから、後方國學院大と中央大の3位争いが加速。キープしていた40秒差がじりじり詰まってきます。終盤かなり苦しくなりましたが、何とか10秒差で凌いで総合2位でリレー。区間5位で粘り切った形になりました。

8区田中選手…最強3年生世代と言われている中、一人ロード型の異彩を放っている田中選手。1年時から世田谷246ハーフで優勝、ハーフは62分台で何度も叩き出す安定感がありました。過去2度の大学駅伝は、突っ込まざるを得ない展開で、力が出せませんでした。今回は、気温が高い中、田中選手の力が活かされることになります。

 10秒後方の3位争いが序盤からよく映像に映し出されますが、中々田中選手を捉えるところまでいきません。しっかり1㎞2分55秒ほどのLAPを刻んでいました。渡会橋付近からさすがに詰まってきて、15㎞過ぎについに青学・國學・中大の三つ巴の決戦に。相手の仕掛けに耐えて、ゴール直前のスパートで単独2位へ!原監督「見直した」という、見事な好走でした!

箱根駅伝2024(第100回)へ【エース・山・選手層】

エースの強さ

 往路平地に、“駅伝男”を並べてくるでしょうね。ついに4年生エースとなった佐藤選手が、久々に往路に登場するでしょうか。

 全日本駅伝に相性がよく、1年時から2年連続5区区間賞を出すなど、単独走で前を追いかけるレースが非常に得意と優勝に欠かせない存在でした。

 でしたが、箱根駅伝は故障明けになることが多く、往路を走ったのは、1年時の4区のみでした。今年は、出雲全日本とも前半スピード区間3区を繋ぐも、もう少しという動きでした。

 それでも春には関東IC1万で留学生に混じって上位に食い込むなど、間違いなく力をつけています。その時のチーム状態によって、2区3区4区か。単独走が活かされそうなのは、4区ですが果たして?

 売り出し中なのが、2年黒田選手。前回もMARCH対抗戦で1万28分30秒台をマークするなど、出走まで後一歩に迫りました。

 今年、秋に5千13分30秒台を出して、駅伝レギュラーに抜擢されると、出雲も全日本も流れを作る重要な2区を担当。区間賞と区間2位の走りで、チームの順位を押し上げる走り!原監督から“新駅伝男”と認められました。

 夏合宿中に、5区山登り候補として名前が上がりましたが、平地でもこれだけ走れるなら、往路序盤もあるかもしれません。

 そして、“箱根駅伝男”として、名が知れているのは、3年太田選手。1年時は3区で、2年時は4区で快走し、チームをトップ争いに押し上げています。特に前回は、故障明け3カ月で仕上げてきた集中力に驚いた記憶があります。

 今年は、例年以上に仕上がりが早く、初めて全日本駅伝に出場。ロング区間7区で単独走戦いきりました。順調にいけば、今年も往路で、原監督が勝負区間と睨んだ区間に起用されるはずだ。

 後残っている往路は1区。駅伝男は、出来れば2区以降で起用したい。全日本で1区を走った若林選手は、もっとタフな区間で活きる選手なので、個人的には、別の区間と予想します。

 候補は何人かいて、前々回の箱根で区間新ペースの1区で区間4位の4年志貴選手が復活していれば、ピシャリと埋まるか。もしくは、3年世代から、野村·鶴川選手が復調していれば彼らもあり得るか。鶴川選手は、ずっと希望していて、関東IC5千mで見せる留学生にも食らいつくスパート力は、箱根でも是非見たいところだ。

 選手層は豊富なので、このあたりはMARCH対抗戦など、今後の記録会なども参考にしたほうがいいのかもしれない。

山登り・山下り

 山に関しては、原監督が一年中策を練っているはずです。というのも、青学大が優勝を逃した年は、山区間の成績が良くないことが多い。前回は、予定していた若林選手が、直前で発熱。急遽補欠の選手が起用されるも大きく後退、優勝争いからは、脱落してしまいました。山を制するものは、箱根を制するとよくいったものです。

 黒田選手の軽快な走りの山登りが非常に見てみたい気がしますが…、今のチーム状況だと箱根2区が妥当になってくるのでしょうか。太田選手が2区に入り、もう一人往路で突っ走れる選手が出てくると黒田選手の5区もあるか。ここはチーム状況次第か。

 現実的には、やはり1年時に往路優勝のゴールテープを切っている若林選手を5区に起用するのが、オーダーとしてもバランスが取れているのではないでしょうか。調子が戻るのにもう少しの感じですが、昨年も故障明けから、一度は急ピッチで仕上げることができていますので、一つ見守りたいところです。

 下りは、今年に関しては情報が何も出ていませんが、昨年基準だと、1番手が現3年の野村選手、2番手が現4年小原選手だったと記憶しています。

 野村選手は言わずもがな主力格の選手で、出雲1区で駅伝デビューをしています。小原選手は、3000m障害が主戦場の選手ですが、全日本4区と主要区間でデビューして他校に食いついています。平地のスピードもありますし、どちらも出走しても面白そうです。

 勿論、選手層豊富な青山学院大なので、別選手の可能性も勿論あります。だいたいいつも、MARCH対抗戦に出場していない選手は誰だ!?と青学駅伝ファンが探しているような気がしますね。このあたり、情報を待ちたいところです。

選手層の厚さ

 選手層の厚さは、とんでもないんですよね。5000m13分台がベストのランナーがずらりと並んでいて、誰が出てきてもおかしくない状況なんですよね。正直予想は難しいのですが、駅伝やロードで突出しているのは3年田中選手。スピードランナーが多い青学大の中で、ロードで手堅いですよね。3度目の大学駅伝となった全日本8区で、彼の持ち味が活かされる展開で、2位争いを制しました。箱根駅伝では、もし首位争いが9区あたりまでもつれていたら、中々面白い展開になるのではないでしょうか。絶好調なら4区もありなのでしょうか?

 あとは学年別にざっと紹介していくことになりますかね。ここまで名前が挙がっていない選手では、出雲・全日本と出走して、出雲駅伝で区間賞を獲得した山内選手。1500mが主戦場なので、ここから正念場となりますが、7区や10区あたりならスピードで狙っていけるでしょうか。

 それから、毎回エントリーメンバーに名を連ねている倉本選手は一定の安定感はありますし、中学時代に世代トップだった佐々木選手が、何とか最初で最後の箱根駅伝を射止めようとしているところ。他にも鈴木・松並選手などロードで一定の安定感はある選手はいるのですよね。突き抜けられるか。3年は、ここまで多くの名前を出していますが、一度全日本駅伝を走っている白石選手あたりも動向が気になるかな。

 2年は、順調なら復路8区以降で登場しそうな選手がいて、全日本6区を走った荒巻選手。見た感じ粘りある走りで復路でいけそうに見えました。同じ2年で、ハーフ62分01秒の好記録をマークしたことのある塩出選手あたりも、素質は抜群。もう一つ結果を残して、箱根の座を射止めたいところ。他、1万m28分台皆渡選手らも候補かな。

 1年生は、9月絆記録会5千m13分30秒台を出して、駅伝ファンを驚かした鳥井選手。射止めた出雲5区は苦しい走りとなってしまいましたが、次の試合が大事なはず。他では、原監督が「将来のエース候補」と、全日本駅伝7区エントリー(当日交代)していた平松選手も気になる存在ですかね。9月に5千m13分52秒ベストを出しましたが、その次のレースはおそらくもうすぐのはずだ。

 選手層というところは、本当に分厚いので、今の時点ではとても予想しにくいですね。世田谷246ハーフ・MARCH対抗戦に、主力やレギュラー争いをしているメンバーが出場していると思いますので、要チェックですね。

まとめ

・4年佐藤3年太田2年黒田選手、平地のエースは揃ったか!?
・選手層はとっても厚い!田中荒巻選手、そのほかは??
・課題の山は!?野村鶴川選手ら復調はあるか

 出雲駅伝5位でしたが、全日本大学駅伝は接戦を制して2位。やっぱり距離が伸びて区間が増えると上がってくる大学であるのは確かなんですよね。

 とにかく、往路を走れる選手が楽しみですね。2年黒田選手が絶好調で、しっかりチームの順位を上げて流れを作っていける形です。これに、4年佐藤選手や3年太田選手が本調子になってくると仕上がってくるでしょうか。

 復路の候補も上がってきて、3年田中選手は、ハーフマラソン大会で見せていた長距離の安定感を、ついに駅伝でも発揮できるように。荒牧選手あたりも粘りある走りを見せていたそうです。

 さて、青学大は課題の一つに山があります。前回はここで優勝争いから後退しました。元々今年の候補だった黒田選手は往路2区に目処が立ってきたので、3年若林選手か。下りは、前年は野村・小原選手が候補でしたが、今年はどうか。

 分厚い選手層の中、復帰が待ち遠しい選手もいます。前々回1区好走で優勝に貢献した4年志貴選手や、出雲1区6区を走った3年野村・鶴川選手が、今後回復してくるか。駒大を倒すとすると総力戦となる中、彼らのスピードは大きな武器になります。

 主力選手が仕上がって、”駅伝男”が万全になった場合は、総合力をもって、駒大を勝ることもあるかもしれません。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。