2月中は、箱根駅伝出場チームの振り返りや、次年度への簡単な分析をしていきたいと思います。
順番は総合順位順から変えます。
続いて、
怒涛の山登り、過渡期に健闘!
東海大学です。
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前々回、前回と、大学駅伝で優勝争いを演じていた世代がごっそり卒業してしまい、ちょうど過渡期だった東海大。記録面は、トラックに強い大学でもあり、持ちタイム平均は高いものの、主要大会経験者は少なかった。しかも、大黒柱2年石原選手が、大きな故障。三大駅伝の出場が難しい中、シーズンを迎えます。
出雲駅伝は前半区間で苦しんで見せ場なく9位。全日本大学駅伝は繋ぎ区間で選手層の厚さを見せ、シード権ラインに迫りましたが、エース区間で離されてしまい、総合12位。箱根駅伝は、目標6位を掲げましたが、やや高い目標と思われていました。そんな中、多くの見せ場を作ります。
11位東海大学10時間59分38秒
往路10位5時間29分14秒・復路10位5時間30分24秒
区間 | 区間順位 | 名前学年 | 区間タイム | 通過順位 | トップ差 |
1区(21.3㎞) | 🥉位 | 市村朋樹④ | 61分24秒 | 3位 | 44秒 |
2区(23.1㎞) | 17位 | 松崎咲人③ | 70分11秒 | 16位 | 3分53秒 |
3区(21.4㎞) | 15位 | 神薗竜馬② | 63分46秒 | 17位 | 5分37秒 |
4区(20.9㎞) | 13位 | 本間敬大④ | 63分19秒 | 17位 | 7分10秒 |
5区(20.8㎞) | 🥈位 | 吉田 響① | 70分44秒 | 10位 | 7分08秒 |
6区(20.8㎞) | 6位 | 川上勇士③ | 58分53秒 | 10位 | 6分58秒 |
7区(21.3㎞) | 🥉位 | 越 陽汰① | 63分09秒 | 8位 | 7分28秒 |
8区(21.4㎞) | 9位 | 入田優希② | 65分53秒 | 8位 | 8分32秒 |
9区(23.1㎞ | 8位 | 竹村拓真③ | 69分36秒 | 8位 | 10分53秒 |
10区(23.0㎞) | 19位 | 吉富裕太④ | 72分53秒 | 11位 | 15分56秒 |
1区市村選手…4年生エース。1万m28分03秒を持つスピードランナーです。ただ、前哨戦は持ち味を発揮することはできませんでした。それでも、11月ロード20㎞で59分台で走破し、1区大役となりました。
第2集団でレースを推移、区間記録に近いハイペースとなりましたが、16.3㎞の仕掛けには真っ先に反応する元気。勝負どころの六郷橋の上りでは、自ら仕掛けレースを先導します。そのまま第2集団最後まで残ってラストバトル。区間3位の大激走でした!往路が不安と言われていた中、できうる限りのことをしました。
2区松崎選手…帰ってきた主力選手ですね。1年時の箱根で7区3位の好走を見せ、次のエースとまで言われていた選手。ですが故障で長期離脱。2年時は駅伝を走れず、3年の全日本駅伝でようやく復帰。2区8位とまずまずの走りを見せていました。
序盤は3位集団を形成していましたが、徐々に後退。中盤以降も思うように走れず順位を落としてしまいます。最終的に、総合16位で中継。個人としても70分オーバー、高速化の中では非常に厳しい成績に。エース区間は、三大駅伝ともに鬼門でした。
3区神薗選手…1年時に1万m28分42秒のベストを出し、今シーズンの前哨戦で結果を出していた選手。出雲では5区5位、全日本でも5区6位。区間一桁で走っていました。下りが得意と言うこともあったか、3区抜擢となりました。
前後に、明大や順大など、巻き返しを狙う主力選手がいる中の走り。序盤は食らいつく形でしたが、中盤からは引き離されてしまいました。区間15位と追い上げることはできず、総合17位での襷リレーとなりました。
4区本間選手…今年度主将の4年生ですね。高校時代から有力な選手ですが、大学でラストランと決めて、長距離区間に標準を絞って練習していました。出雲駅伝はアンカーの6区、全日本駅伝も長距離の7区で、黙々とチームを支えました。
落ち着いて入りますが、前方のチームも前を追い上げるために飛ばして、中々前が見えてこない状況。終始単独走となりますが、何とか区間13位63分19秒でまとめました。何とか崩れずに走り切ったのが、次の区間に繋がります。
5区吉田選手…3年連続専任の選手が卒業、任されたのは1年生吉田選手。高校時代からロードが強かったのは確かですが、大学に入ってからの大会は、4月の対抗別に1万mに一度い出場しただけ。エントリーに入っているから、なんとなく山登り準備してそう、ということくらいしか分かりませんでした。
それが、登りに入ってから物凄い追い上げ。1分以上離されていた明大・日体・山学をあっという間に交わし、小涌園通過。その後も追い上げ止まらず、連合を交わし、下りに貼ってからは国士を交わし、神大と早大と並んでラスト激しいバトル。このバトルに勝ち切って往路のゴールへ。なんと連合を含めた8人抜きで総合10位!一気にシード権まで巻き返してきました。
東海大としては、本当に秘密兵器。11月には、山登りの神になりそうと、チーム内で話題になっていたそうです。実際、70分44秒の区間2位と現コース1年生最速。個人としても、今後が本当に楽しみな選手です。
6区川上選手…山下りに自信があった東海大としては、往路で巻き返したのは朗報でした。前回も58分台で走っている川上選手が2年連続エントリー。全日本駅伝4区の平地の好走もあり、57分台を狙っていくほどでした。
氷点下の気象条件に苦しんだが、序盤は後退。13位まで順位を落としひやりとしましたが、小涌園から乗ってきました。一旦は抜かれた神大・早大・法大を抜き返して再度10位に浮上。最終的に区間6位58分53秒にまとめて、まずはいい滑り出しとなりました。
7区越選手…期待のスーパールーキーですね。佐久長聖から鳴り物入りで入部。とはいえ、故障で離脱して、練習開始は秋から。大学初試合は11月でした。それでも1万m28分台、20㎞ロード59分台走破は波のルーキーではありませんでした。
10位でもらった襷、すぐに東洋大を交わして、どんどん前を追っていきます。中盤過ぎには、失速した國學院大を交わして8位に浮上。すぐ目の前中大が迫ったところで襷リレー。63分09秒区間3位の好走で、シード権より一つ上の位置に、チームを引き上げます。
8区入田選手…全日本駅伝6区で、大学駅伝デビュー。区間一桁で走り切って、箱根駅伝でも起用となりました。序盤は単独走が続く展開でしたが、区間10位付近のペースをキープします。
終盤は、前から落ちてきた帝京大と、追い上げてきた東洋大との激しい競り合い。ラストで意地を見せた帝京大に続く形で総合8位での襷リレー。最終的に区間9位の走りで、流れは切らしませんでした。
9区竹村選手…長い距離で頭角を現してきたランナーですね。前回の箱根はアンカーの10区、全日本でもアンカーの8区起用でした。今回は、復路のエース区間9区となりました。序盤は、区間記録を超えるペースで突っ込む東洋大についていく展開でした。
中盤は引き離され、単独走になりましたが、持ちこたえて69分36秒の区間8位。総合順位も8位をキープ、シード権を落とす11位との差は、1分22秒差。安全圏ではなかったものの、下馬評覆しての獲得が近づいていました。
10区吉富選手…4年生、最初で最後の大学駅伝となる吉富選手が託されました。素質はありながらも、中々思うようにいかず、4年夏ころには、監督から「戦力として考えていない」と切り捨てられたそうです。
そこから這い上がり、1万m28分台を記録して、アンカーを勝ちっています。他の大学も4年生起用が目立ちました。嬉しい反面、決着が付く残酷な面もあります。吉富選手は、中盤まで区間中位のペースをキープ。創価大に抜かれ9位となりますが、田町16.5㎞で区間8位、総合11位との差は1分24秒とつけていました。
ところが、暗転直下。急激にペースが落ちていき、18.1㎞御成門で40秒後方だった帝京大に、20.5㎞で交わされ10位。低血糖のような症状で思うように身体を動かせなくなっていました。残り1㎞を切って法大に交わされたころには、前進するのがやっと。52秒差でシード権を逃す、なんとも苦い箱根路になりました。
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最終的には、強かった世代が抜け、大きく方針を変えている最中、僅かに強化が間に合わなかったですね。それでも、下級生に対応している選手が多いというのは、光明のはずです。
来季は、予選を通過してからですが、上がっていくしかありません。
残る今年の箱根メンバー
松崎咲人③28分39秒46≪22:箱2区17位、21:全2区7位、20:箱7区3位≫
神薗竜馬②28分42秒61≪22:箱3区15位、21:全5区6位、出5区5位≫
越 陽汰①28分48秒72≪22:箱7区3位≫
竹村拓真③28分54秒56≪22:箱9区8位、21:全8区14位、箱10区8位≫
川上勇士③28分59秒60≪22:箱6区6位、21:全4区5位、箱6区5位≫
入田優希②29分02秒30≪22:箱8区9位、21:全6区9位≫
吉田 響①29分42秒42≪22:箱5区2位≫
残る補欠メンバー
溝口 仁②28分24秒48≪21:出2区8位、日本1500m7位≫
梶谷優斗①28分27秒77
金澤有真③28分48秒76
杉本将太③29分16秒89≪21:関東IC1部3障6位≫
水野龍志①5千m14分12秒33≪21:出4区10位≫
その他有力選手
石原翔太郎②28分05秒91≪21:箱3区1位、20:全4区1位≫
松尾昴来②28分21秒80
宇留田竜希③28分47秒57※新主将
喜早駿介②28分52秒13≪22:全1区16位≫
木原大地②29分38秒26
吉井来斗②29分44秒14
折口雄紀②29分46秒07
佐藤俊輔③half63分39秒
佐伯陽生②5千m13分55秒89≪21:箱4区19位、20:全1区7位≫
花岡寿哉13分48秒29
兵頭ジュダ13分54秒70≪21:IH1500m2位≫
松本颯真14分00秒16≪21高1区32位、IH1500m13位≫
今年の箱根メンバーが7名残りますね。往路を経験した松崎・神薗選手に、これからの成長ガノタシミでしかない吉田・越選手の好走1年生コンビ。山下りの川上選手もまだ健在、他にも竹村選手ら長い距離安定している選手がいますね。
今回の補欠以下が豪華で、スピード抜群で出雲駅伝も走っている溝口選手、1万m28分27秒の梶谷選手ら、スピードランナーが勢ぞろい。そのほかにも新主将となる宇留田・喜早選手ら、素質が高い選手がいます。復帰が待ち遠しい石原・佐伯選手も戻ってきてほしい。
ルーキーは今回も実力ある選手が加入。5千m13分48秒の実力者の花岡選手ら楽しみなランナーが多いです。ひとまず、全日本予選・箱根予選ともに豪華なメンバーで挑むことになりそうです。
まずは好スタートを切ったのですよね。1区を任された市村選手が、六郷橋で自ら仕掛けるなど、第2集団をけん引。区間3位で走り切りました。エース不在の穴はそれでも埋めきれず、2区以降順位を落とし、4区本間主将らが頑張りますが、17位での中継でした。
一気に取り返したのが5区山登り。秘密兵器1年生吉田選手が70分台の区間2位大激走!選抜を含む8人抜きで、一気に総合10位のシード権内まで浮上してきました。復路も勢いづき、6区川上選手がしっかり下ると、7区これまた1年生越選手が区間3位の走りで8位。上位校に風穴を開ける勢いでした。
ラストでシード権を落とす悔しい結果になりましたが、下級生の台頭も多く、前向いていける結果となりました。平均タイムは高いですし、その中で経験を積んで着実に強くなってきている選手もいます。石原選手の故障が長引きそうなのが気がかりですが、すぐに強豪校に戻る下地は既にあると思います。
箱根駅伝ファンのための情報集
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