箱根駅伝2022へ【駒澤大・青山学院大】出雲&全日本駅伝を振り返る

11月・12月、箱根駅伝に向けてメンバー争いが繰り広げられている最中ですね。

各関東地区の大学の、
前哨戦(出雲・全日本・箱根予選)を振り返っていきたいと思います。

そのうえで、今季のチームの特徴や、山など箱根に向けて
駅伝ファンとして思うことを記載していきます。

まずは、
箱根駅伝2022において、中心的な存在になると思われる
駒澤大学青山学院大学です。

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【駒澤大学】箱根駅伝2022へ向けて~前哨戦振り返り

 三大駅伝中心的存在と言われていた中でしたが、実は夏に鈴木選手ら主力選手を含めて故障者・不調者が出てしまった模様。そんな中、迎えた2つの大学駅伝でした。

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出雲駅伝2021振り返り

田澤選手はアンカーに控えていましたが、1区2区4区5区は初駅伝、3区花尾選手は初主要区間と、実は苦しいオーダー編成でした。

5位駒澤大学2時間14分53秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区8.0㎞ 8位 篠原倖太朗① 23分57秒 8位 16秒
2区5.8㎞ 3位 安原太陽② 16分22秒 6位 14秒
3区8.5㎞ 4位 花尾恭輔② 24分54秒 5位 52秒
4区6.2㎞ 8位 唐澤拓海② 19分42秒 8位 1分35秒
5区6.4㎞ 10位 赤津勇進② 20分16秒 8位 2分22秒
6区10.2㎞ 2位 田澤 廉③ 29分42秒 5位 2分43秒

1区篠原選手…夏の上り選手でしたね。入学時は目立つ存在じゃなかったのですが、秋口の日本インカレ5千mで、最後まで優勝争いをした上で2位になるまで成長したランナー。主力を欠く中、1区を任されまいた。

 耐久レースとなった1区、気温が高いのは日本インカレと同じでしたが、駅伝では同じようにはいかず。残り500mほどで苦しくなり、先頭と16秒差。日本IC優勝者が1区区間賞なだけに余計悔しい結果。1年生として頑張りましたが、ベストメンバーでなかった駒澤大には、後々響いてしまいました。

2区安原選手…今期になって5000mを中心に、大幅に自己ベストを出していた安原選手が、駅伝メンバーに選ばれていました。前半はその勢いで、どんどん追い上げていき、前の集団に追いつき、残り1㎞少しでトップと秒差まで追いつきました。

 ですが、そこからのスパート合戦に参加するのはさすがに苦しかったですね。トップとの差は14秒に戻りました。ここは駅伝の流れですね。とはいえ、前半突っ込んでの区間3位は、次の全日本駅伝への光でした。

3区花尾選手…初主要区間となった花尾選手。トップ集団は、無理に追っていかない選択をしています。箱根7区は突っ込み過ぎたので、抑えたそうです。どちらが良かったは気象条件が違い過ぎるので一概には言えません。

 とはいえ、後半は粘って前から落ちてきた選手を拾っていたところ、かなり力はついていることを感じさせました。優勝はともかく、表彰台は充分狙える位置にはとどまっていました。

4区唐澤選手…ただ、繋ぎの2区間が予想以上に苦しい走りになりました。不調から4区に回った唐澤選手。前を追っていこうとしましたが、自分の想定以上に粘りが効かなかったようです。駒スポでは”駅伝を舐めてた”ということ、厳しい駅伝デビューとなりました。

5区赤津選手…トラックの記録では、今の主力選手たちとそうそう変わらない記録を出していた赤津選手。ついに駅伝デビューとなりましたが、後方での単独走、さらに過緊張もあったようです。区間10位と一番厳しい区間順位となりました。

6区田澤選手…8位、しかも前のチームと50秒も離れている状態で襷を受け取った田澤選手ですが、さすがエースの走りでした。帝京大・創価大を交わすと、早大の実力者中谷選手も、最後の叩き合いで振り落としていきました。

 珍しく出し切ったという出雲駅伝、主将として迎えた初の大学駅伝は、優勝目指して5位と厳しい結果となりましたが、背中で大きく引っ張りました。

全日本大学駅伝2021振り返り

 大八木監督は、出雲駅伝の敗戦から、全日本大学駅伝への道筋は見えたという趣旨のコメントをされていました。駅伝では珍しい後半型のオーダー、さらにまたメンバーも入れ替えていました。駒大を優勝にあげる声は減っていました。大八木監督も「3位入賞」と目標を下げていました。

1位駒澤大学5時間12分58秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区9.5㎞ 1位 佐藤条二① 27分05秒 1位 -0秒
2区11.1㎞ 10位 青柿 響② 32分35秒 7位 45秒
3区11.9㎞ 12位 佃 康平④ 34分42秒 11位 2分20秒
4区11.8㎞ 4位 赤星雄斗② 34分18秒 9位 1分53秒
5区12.4㎞ 8位 東山静也③ 37分00秒 9位 1分51秒
6区12.8㎞ 2位 安原太陽② 37分30秒 4位 1分36秒
7区17.6㎞ 1位 田澤 廉③ 50分36秒 1位 -18秒
8区19.7㎞ 4位 花尾恭輔② 59分12秒 1位 -8秒

1区佐藤選手…ナイススターターでした!出雲メンバーには入っていませんでしたが、メンバー締切直後の記録会で5千m13分40秒のナイスパフォーマンス!なんでメンバーに入っていないんだと言われた、ルーキー佐藤選手の満を持したデビューでした。

 全体的に高速で進んでいった今回の1区ですが、ひるむことなく進みます。残り2㎞ロングスパートがかかる中でもしっかり先頭集団に残ります。すると、残り500mあたりからスパート!中大の実力者吉居選手とのたたき合いも、ゼロ秒差で制して区間賞!見事な全国デビューでした。

2区青柿選手…昨年末、トラックで主力を凌ぐようなベストを出して、駅伝ファンを驚かせた選手。スピード区間2区で駅伝デビューとなりました。5㎞手前で先頭集団から遅れたときはヒヤリとしましたが、後半落ちてきた選手を拾っていましたね。現状での力は出したのかなと思います。

3区佃選手…びっくり采配でした。スピードエース区間と言われる3区を、スタミナ型の4年生佃選手エントリー。不得手な区間、最初突っ込んだそうですが、結構前半でいっぱいいっぱいだった模様。

 区間順位は12位と苦しく順位も11位まで下げましたが、トップとの差は東国大を除けば約1分20秒。点々と前が見える状況でした。佃選手がいたから、後半に力のある選手を残すことができたと思います。

4区赤星選手…初大学駅伝出走選手が4名いましたが、その中で最もよい区間順位を獲得したのが赤星選手です。単独で前を追わなけれなばならない状況でしたが、中大と拓大を交わして、9位に浮上。上位とはまだ開いていたようで区間4位。このあたりから流れが変わってきます。

5区東山選手…自分が走ると思っていなかったという初駅伝3年東山選手。1㎞で結構きつさを感じていたそうですが、区間8位と粘りの走り。中大の実力あるランナーに交わされましたが、國學院大のルーキーを交わして9位のまま。とはいえ、優勝は厳しい、3位入賞でどうだろうか、というのがこの時点での評価でした。

6区安原選手…ここからでしたね。出雲駅伝で突っ込んで粘っていた安原選手の強さは本物でした。監督から「離れてるけど4校は抜こう」の指示はあったそうで、ひたすら攻め続けました。

 時期に中大を抜くと、東洋大を抜いて、10㎞では法大と早大を交わして一気に5位に浮上。そして中継所直前、大差があったはずの青学大を捉えて秒差なしながら4位に浮上。一気に、駒大に流れがやってきました。

7区田澤選手…大エースであり、前回優勝のゴールテープを切った田澤選手をあえて7区に。結果的に、青学大以外は、この区間にエースを置く余裕のあるチームはなく、見事采配的中だったわけです。

 3㎞過ぎに明治大を交わすと、青学大がついてきますがそのままどんどんトップを追っていきます。10㎞過ぎに順大を交わして2位、13.5㎞で東国大を交わしてついに首位浮上。あとは後ろどれだけ離せるか。食いついてくる青学大を、ロングスパートでねじ伏せて、18秒差単独トップに立ちます。

8区花尾選手…2年生ながらスタミナ充分の花尾選手をアンカーへ。汗が染みこんだズシリと重い襷を肩にかけます。8㎞で青学大に追いつかれ、実況解説にずっと”青学大を先に行かせた方がい””後ろに付いた方がいい”と散々言われていましたが…

 花尾選手個人は、これまでの経験のレース、”下がった方が負け”と考えがあり、一歩も引く気は無かったそう。表情からは伺い知れない気の強さでした。結果、得意のじわじわあげていくロングスパートが、残り2㎞で決まり、見事連覇!重役を果たしました。

箱根駅伝2022へ向けて【エース・山・選手層】

 3位入賞狙いだったところからの、全日本大学駅伝連覇。故障者が多かった中、自信になりましたね。また、新たに起用したランナーで箱根でもやってくれそうなランナーが複数人現れています。一気に、箱根連覇に向けても士気が上がってきているのでは!?

 各大学、エース面・選手層、さらに箱根駅伝独特の 山 も、見ていきます。

エースの強さ
 エースはもう、田澤選手という現役最強選手がいますからね。1万m27分38秒の日本トップに近いスピードは勿論のこと、主要大会きっちり合わせてくる調整力がありますし、勝負を決める爆発的なスプリント力を持っています。

 強いて欠点?を言えば、箱根駅伝では2区より3区タイプですが、今回は昨年の日本選手権のような特殊な日程ではありません。しっかり仕上げてきます。気象条件が良ければ、66分台は充分いける選手です。

 往路候補は他にも出てきていますね。2年生からは、花尾・安原選手が駅伝で自分の力をしっかり出し切る術を身に付けつつあります。主力というには早いかもですが、全日本1区区間賞の佐藤選手が、箱根でもしっかり戦えるとかなり大きいでしょう。

 前回は1区で出遅れ、2区3区で追い上げて、という展開でしたが、それよりもずっと前、エースを活かしていく展開にできそうな気配になってきています。

山登り・山下り
 ここがうまくいくかいかないか、平地よりも差がつく区間です。山登りに関しては、前回8区の佃選手が毎年準備していますが、できれば8区に残したいところ。激坂王では、3年大坪選手が前回の区間上位者とそん色ないタイムで駆け込んできて候補の一人に。

 下りが課題で、どうやら再考する必要がある模様。57分台の代わりはさすがに苦しいと思う。59分を切るのは、ここ最近の優勝校の最低条件ですが、出てくるか。スピードランナー多い駒大ですが、未知数のところです。

選手層の厚さ
 鈴木選手が長期離脱、箱根本戦でも走れるかどうかまだわからない状況なので、連覇に向けて、選手層面の比重がより大事になってきます。基本的に往路で有利に立っているはず…の想定です。

 佃選手以外に5区山登りの目途が立った場合、佃選手がおそらく8区に残るか。全日本4区4位の赤星選手も出走有力候補。流れが良かったらもっと走れるかもしれません。それから、秋シーズン苦戦していた唐澤選手が、世田谷246ハーフで62分台。課題だったスタミナ面も少しずつ解消してきているところですかね。

 あとは、青柿・赤津選手ら2年生スピードランナーや、山野・円・東山・新矢選手ら上級生の選手らとがっぷり四つ…ですかね。復路で区間賞レベルまで上がってくる選手が出てくると、もう安心ですね。

総合:まず先行、山で順位を落とさなければ

 全日本と違い、箱根はエース区間が序盤にあります。なので、基本的にはエース区間でしっかり先行することが大事。昨年は、1区で遅れて、田澤選手で追い上げる展開になりました。幸運にも優勝できたのは、当時の4年生の3区の激走があったから。

 なので、おそらく2区だろう田澤選手でしっかり先行していきたいですよね。1区はトップに近い位置。できれば安原・花尾選手以外で乗り切りたい。佐藤・唐澤選手らが候補になってくるでしょうか。

 山がちょっとまだ不明慮ですが、誰を走らせるか。5区は佃・大坪選手どちらか。下りはまだ分からないですかね。ここで一気に差を詰められなければ、総合優勝が近づいてくるのではないでしょうか。

【青山学院大学】箱根駅伝2022へ向けて~前哨戦振り返り

 一時は優勝候補の一角と言われていましたが、やはりそんなことはなく、今年も主役の座を取れる位置にいました。出雲駅伝から、「史上最強」と謳い、勝負をかけています。

出雲駅伝2021振り返り

2位青山学院大学2時間14分07秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区8.0㎞ 1位 近藤幸太郎③ 23分41秒 1位
2区5.8㎞ 7位 飯田貴之④ 16分29秒 5位 5秒
3区8.5㎞ 3位 佐藤一世② 24分44秒 3位 33秒
4区6.2㎞ 6位 若林宏樹① 19分20秒 3位 54秒
5区6.4㎞ 6位 目片将大③ 19分40秒 4位 1分05秒
6区10.2㎞ 3位 横田俊吾③ 30分13秒 2位 1分57秒

1区近藤選手…流れが大事な1区。持ちタイム学内トップ、そして日本IC5千m優勝と、青学大きってのトップ選手を持ってきました。酷暑の中、早いペースとはなりませんでしたが、それでもスパートの切れもある近藤選手で良かったです。

 残り300m付近スパートで抜け出すと、しっかりと区間賞。エース不在と言われていた青学大が、エース区間で主導権を握りました。

2区飯田選手…びっくり采配だった飯田選手。長距離ロードのイメージがある選手なので、当日変更を予想してしまいました。区間7位でラストもやや引き離されつつも何とか踏ん張った形に。とはいえ、暑かったですから、結果的にスタミナもいつも以上にいる区間になったかもです。

3区佐藤選手…駅伝でしっかり自分の力を出せる選手と言うことで、主要区間起用の2年生です。しっかり先頭集団につきました。東国大と創価大の選手がビッグパフォーマンスを見せたので、これには叶いませんでしたが、3位の好位置に付くことが出来ました。

4区若林選手…出雲は繋ぎが課題でしたね。日本ICにも出場するなど期待が高かったルーキー若林選手。創価大を交わしましたが、同じ早大のルーキーの選手に、追いつかれ突き放されてしまいました。例年と違い、向かい風であったことも影響しましたかね。

5区目片選手…成長株の選手でしたね。夏合宿では山登りに適性を示し、9月記録会も酷な条件で13分台でまとめていました。ただ、ピークが前倒しになったかなという走りで区間6位。後方の集団に追いつかれて一つ順位を落とし4位となります。

6区横田選手…原監督が満を持して配置した初駅伝横田選手。走りにキレはないけども、無尽蔵のスタミナと勝負勘で上がってきた選手といいます。腕を回す独特のフォームで、2位3位のチームを視界に捉えながら追走。

 7㎞過ぎに東洋大を捉えて3位に浮上すると、9㎞あたりからロングスパートを仕掛けて、9.5㎞で一気に國學院大を捉えて2位浮上!暑さで崩れる選手・チームが多かった中、青学大の強さが発揮されたレースでした。

全日本大学駅伝2021振り返り

 優勝できるチームに仕上がってきたと自信を持って臨んだ全日本大学駅伝。たくさん収穫はありましたが、勝利の女神がほほ笑むまでにはいたりませんでした。

2位青山学院大学5時間13分06秒

区間 区間順位 名前学年 区間タイム 通過順位 トップとの差
1区9.5㎞ 4位 志貴勇斗② 27分10秒 4位 5秒
2区11.1㎞ 14位 中村唯翔③ 32分58秒 10位 1分13秒
3区11.9㎞ 3位 岸本大紀③ 33分55秒 8位 2分01秒
4区11.8㎞ 1位 髙橋勇輝④ 34分08秒 6位 1分24秒
5区12.4㎞ 1位 佐藤一世② 35分57秒 3位 19秒
6区12.8㎞ 12位 若林宏樹① 39分02秒 5位 1分36秒
7区17.6㎞ 2位 近藤幸太郎③ 50分54秒 2位 18秒
8区19.7㎞ 3位 飯田貴之④ 59分02秒 2位 8秒

1区志貴選手…2年連続で全日本駅伝エントリーで、出走するのではないかと言われていた中、ついに出走してきました。残り1㎞4選手に絞られるところまで先頭集団に残り、5秒差の4番手でのタスキリレー。主力選手も温存していますし、これはナイスリレーでした。

2区中村選手…でしたが、いきなり流れが切れました。中村選手が8㎞手前で先頭集団から脱落すると、そのままズルズルと後退。トップと1分13秒差の総合10位。個人としても区間14位と厳しい結果になりました。

 今年の箱根2区を走って以降、怪我などもあり中々調子が上がらなかった中村選手。出雲はエントリー落ち。全日本には入ってきて、満を持しての出走でしたが、駅伝の難しいところ。出遅れてしまいます。

3区岸本選手…ですが、流れを一気に変える選手がすぐ次の区間で待ち構えていました。1年の箱根以来の復帰となった岸本選手がやってくれました。すぐ後ろから拓大の留学生が追い抜いていく難しい展開でも、しっかり前を追っていきました。

 チェックポイントの7.4㎞までに、駒大・中大・東洋の集団に追いつくと、最終的にその集団を突き放して8位まで浮上。個人でも、区間3位ながら日本人トップ!エース級の起用が多かった中で、素晴らしい成績。やっぱり駅伝男です。

4区髙橋選手…個人的に一番のサプライズは髙橋選手。この区間は青学大4年生の起用が多いので、起用はそこまで驚いたわけではないのですが…。1㎞2分41秒と突っ込んで入ると、5㎞までに拓大と國學院大を捉えて6位に浮上。

 最後は、10㎞過ぎに捉えた法政大の選手と競り合う形でリレー。上位が点々と見えるところまで追い上げました。そしてまさかの区間賞!山下りのイメージが強い選手ですが、平地でもここまで力をつけていました。

5区佐藤選手…点々と見える状況で、ルーキー時から”駅伝男”と名前が挙がる佐藤選手。前回はこの区間で区間記録を作っています。やはり、突っ込んで入って、2.5㎞では順大・法大・明大の集団をまとめて捉えていき、一気に3位浮上します。

 ついてきた順大と競り合いながら、トップ争いのチームをじわじわ追い詰めていきます。最終的に落ちてきた東国大を交わして、トップと20秒差の3位中継。前回と同じくトップが見えるところまで追い上げました。

6区若林選手…でしたが、またも落とし穴。出雲に続けて入った若林選手は、集団でトップに追いつきますが、6㎞過ぎに先頭集団から後退。その後、粘りが効かずぐっと後退。1分36秒差ついただけでなく、「ない」と思っていた駒大に追いつかれました。

 夏合宿の疲れが取れず、起用の予定がなかった中、西久保選手が熱発。急遽出走でした。調子が上がっていなった若林選手には、辛い駅伝となり、西久保選手は大学駅伝経験詰めず。色んな意味で痛かった。

7区近藤選手…同時スタートのライバル駒大は、この区間に現役最強ランナーを配置。青学大もエース近藤選手ですが、苦しい戦いが予想されました。でしたが、その近藤選手の走りが見事。

 6㎞過ぎまで食らいつくと、引き離された後も7秒~10秒程の差でピタリ。最後3㎞で猛烈なスパートで空けられるも18秒差。相手が日本人最速タイムで走る中、自身も追随。優勝の可能性の芽を残した走りには、駒大側にも脅威を与えました。

8区飯田選手…微妙な18秒差。受け取った飯田主将は2年ぶりアンカー。その時は、トップでもらうも逆転負け。内に闘志を秘めていました。8㎞かけてじわりと18秒の差を埋めると、出走前の原監督の指示「後ろで脚をためろ」の指示を守り、斜め横に付けます。

 ただ…結果的にリズムが変わってしまい、むしろ消耗してしまったようで…。残り2㎞相手側のスパートに対応することはできず。全日本大学駅伝史上の小差8秒差の2位に敗れてしまいました。

箱根駅伝2022へ向けて【エース・山・選手層】

 最も、if飯田選手が自分のペースで前に行って勝ち切れたのかどうか。これは分かりません。色んな状況があるので何とも言えません。ただ、「迷ったら前へ」はどこでも通じそうです。総合力で勝負する今年の青学大、うまく実践できればとても強いです。

エースの力
 大エースまではいかずとも、それに近い選手が育ってきていますね。3年近藤選手が、出雲駅伝・全日本大学駅伝ともエース区間起用し、エースの働きをしてくれました。昨年の全日本駅伝が初めての大学駅伝で、この時は失敗レース。でしたが、そこから階段を駆け上るがごとく成長してきました。往路序盤3区間どこでもいくでしょう。

 そして、”駅伝男”と言われる選手が複数いるのですよね。流れとか襷をもらう位置など関係なく、ガンガン前を追っていける選手。大復活を遂げた3年岸本選手に、4度の駅伝区間4位以内の2年佐藤選手。特に2区もやれる岸本選手が好調は大きい。調子によって組み換え可能です。

 佐藤選手も往路復路問わず任された区間をどこでもしっかりこなしていけるのではないでしょうか。往路を彼らで繋げていって、攻めていくのか。復路にも残すようにするのか気になるところです。

山登り・山下り
 ここは、優勝争うだろう大学の中でも手ごわいのではないでしょうか。激坂王は全員DNSとなりましたが、でもおそらく4年飯田選手の2年ぶり山登り登板になるのではないでしょうか。

 ロードをぐいぐい推していくのが得意。ひたすら攻めていく必要がある区間、おまけに2大会前区間2位の実績があります。71分ほどが計算できるチームなんてそうそうないです。多少劣勢でも跳ね返せます。

 山下りも前任者4年髙橋選手がいます。区間3位58分13秒が前回の成績。これは凄い野ですが、全日本4区区間賞の激走。この勢いだと57分台、そして区間記録にもチャレンジできるのではと感じます。

 とはいえ…もしかすると彼は平地もありえます。平地あれだけ走力をつけているのなら、勿体ないくらいです。その時誰が走るかが問題ですが、青学大は小野田選手以降初出走選手が外したことはありません。高橋選手を平地に降ろしたなら、その選手は58分半以内では走ると思った方がいいくらいです。

 山は青学大は現時点ではアドバンテージ撮れそうな感じです。

選手層の厚さ
 選手層の厚さは言うまでもないのですよね。出雲駅伝では横田選手が好走、出雲駅伝では志貴選手が好走と、新戦力は出てきています。直近世田谷246ハーフでは、1年田中選手が62分台で優勝。前回10区の中倉選手も上々。宮坂・大澤・目片選手も63分前半で続いています。

 さらに宮古サーモンハーフでは、非公認コースながら、1年太田選手が62分台。そのほかにも続々62分台~63分前半のタイムが出てきています。西久保・中村選手らにもまだチャンスはあるでしょう。多くの選手が仕上がりつつあります。

 むしろ、なんで全日本大学駅伝は2区間失速してしまった??

総合:1区からしっかり流れを作るに限る
 ここのところ、優勝する土台は整って入るはずなのです。ですが、ここのところ2区間以上ブレーキが出て、凸凹駅伝になってしまっているのですよね。主力選手の怪我もここのところちょっとあるのも気になるところです。

 また、触れていないですが、1区をどうするかというのもポイントです。勿論エース近藤選手や、佐藤・岸本選手を起用してもいいのですが、勿体ないのですよね。箱根駅伝の1区は他校と差をつけるのが難しい区間。突っ込んで前を追っていける選手は2区以降で活きるのですよね。

 全日本駅伝1区好走した志貴選手が、課題のスタミナを克服できていれば一番いい。それか髙橋選手を1区に持ってくるのも手ですが…。どうやっていい流れを作り出すか。青学大は、適材適所だけでなく、調子の見極めも非常に大事になってきます。


hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。