【順天堂大・帝京大】箱根駅伝2021振り返り~収穫や今後に向けて

関東地区各大学の、大学駅伝シーズン2020-2021を振り返っておきます。

こちらは、箱根駅伝2021で、7位・8位の順天堂大と帝京大です。

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【順天堂大学】箱根駅伝2021を終えて

順天堂大学の箱根予選と全日本駅伝2020振り返り

レース振り返り詳細

7位順天堂大学11時間04分03秒
往路7位5時間33分31秒/復路8位5時間30分32秒
1区(21.3㎞)10位三浦龍司①63分33秒[10]0:33
2区(23.1㎞)10位野村優作②68分05秒[11]2:02
3区(21.4㎞)5位伊豫田達弥②63分25秒[7]2:21
4区(20.9㎞)5位石井一希①63分35秒[7]2:33
5区(20.7㎞)13位津田将希③74分55秒[7]5:23

6区(20.8㎞)2位清水颯大④58分06秒[5]4:40
7区(21.3㎞)15位小島優作③65分20秒[6]6:48
8区(21.4㎞)10位西澤侑真②65分32秒[6]7:10
9区(23.1㎞)11位鈴木尚輝③70分37秒[8]9:33
10区(23.0㎞)6位原田宗広④70分58秒[7]7:59

1区三浦選手…トラックとロード共に活躍を見せていたルーキー三浦選手。11月末の打撲の影響が懸念されましたが予定通りの1区エントリー。全日本駅伝に引き続き1区で区間賞を獲れるか注目が集まりました。思ったのと違う展開の中、六郷橋からの仕掛けについていくことができず今回は区間10位。それでもこの区間5人起用のルーキーの中では、最上位の意地を見せました。

2区野村選手…箱根予選前から一気にチームのエース選手に成長していた野村選手。前後の選手と集団走をしながらしっかりペースを刻みます。接戦の中、一つ順位は落としたものの、混戦の中で総合11位でリレー。初の2区で68分05秒と区間10位とポテンシャルの高さをしっかり出してきました。

3区伊豫田選手…春先1万m28分30秒台を出して、一気に走力を伸ばしていた選手。箱根予選でも好走、全日本2区は息切れでしたが、今回は満を持して3区。じりじりと順位を上げていくと、早大など格上と思われたランナーに終盤食って掛かります。区間5位の好走で、総合7位まで順位を引き上げ、チームを流れに乗せます。

4区石井選手…今回の順大は1年生を2人起用したのですよね。石井選手も力があります。序盤から他大学が前後する中、しっかりと自分のペースを刻んでいく所は、波のルーキーではないですね。順位こそ変わりませんでしたが、準エース区間と言われる4区で区間5位好走は今後が楽しみになりますね。

5区津田選手…昨年の出走者である4年真砂選手に競り勝って、初の箱根切符を掴んだ選手です。区間一桁台で走り、有力校にも食い下がる等上りのセンスは見せました。ただ、下りに入ったあたりから低体温症に陥ってしまい失速。最後はヒヤリとしましたが、7位はキープをして往路を終えます。

6区清水選手…とはいえ、シード権ラインからは大きく追い上げられた中で迎えた復路。当日変更で3年連続で清水主将が山下り出走に。元々同じ4年矢野選手が6区、清水選手は9区の予定でした。ただ、16人の段階で4年生主力野口選手がエントリー漏れ。その為、攻める区間を早めることになったそうです。

 そのチームの目標通り、最初から突っ込んで攻めていきます。小涌園までは区間賞ペースで突っ走ります。ペースの上がらない東国大と帝京大を交わして、総合5位に浮上。区間2位58分06秒は、3度目の山下りで飛びぬけていいパフォーマンス。チームを勇気づける走りとなりました。

7区小島選手…下級生の頃からスピードがあり、出雲と全日本駅伝では出走経験があった小島選手。ハーフマラソンでも結果を出し、ついに箱根デビューへ。単独走の中、二宮まではまずまずのペースでしたが、後半は苦しい走りに。東国大に交わされ、一つ順位を落として総合6位で襷を繋ぎます。

8区西澤選手…全日本駅伝でアンカーを務めていた西澤選手。箱根は往路4区の予定でしたが、調子が上がり切らず前年と同じ8区に。青学大に交わされますが、東国大を交わして順位をキープ。懸命に粘り切って、区間10位ながら65分半ばとまずまずのタイムで走破。チームの流れを繋ぎます。

9区鈴木選手…箱根予選では、エントリーさえもされていなかった選手が復路エース区間出走に!11月末のアップダウンのあるコースでいい走りを見せていたのがポイントとなったようです。

 権太坂までしっかりと攻め込んでいくと、終盤区間上位の走りを見せる早大帝京大にこそ交わされますが、区間11位と粘りきり、総合8位で中継。シード権が見えてきました。

10区原田選手…最後まとめるのは、前回裏の1区区間下位に沈んだ4年原田選手。悔しい思いをした中で、残り1度の箱根駅伝にかけていました。序盤で見えていた早大と帝京大に追い付くと、ここから我慢の展開。中盤までの牽制から最後はかなりのペースアップの叩き合い。

 最終的に、早大に先んじられましたが、一つ順位を上げ総合7位。見事予選校として唯一のシード権獲得。個人としても区間6位で、4年生の力を見せました。

収穫と今後に向けて

 まずはシード権獲得できてほっとしましたね。2区までの混戦を除き、それ以降はシード権以下に落ちることは一度もありませんでした。また、予定のオーダーを組めない場面がありながらも、しっかりとカバーできるチーム力がありました。出走は2名ですが、復路での4年生の頑張りは非常に大きかったです。

 勿論、往路のメンバー全員を初め8名が残るのは、次年度強豪校倒しの大きなチャンスです。2年野村・伊豫田選手が躍進、1年三浦・石井選手がも完全に主力です。復路も西澤選手に、今回走れなかった吉岡選手らが控えています。

 走力が高いランナーは多いですし、全日本駅伝あたりは、2大会前のようにトップを疾走していくチャンスかな!?箱根は、山下りを中心に課題はありますが、十分に上位候補。これから本格的に、強豪校に復活していくかもしれません。

【帝京大学】箱根駅伝2021を終えて

帝京大学の全日本大学駅伝2020振り返り

レース振り返り詳細

8位帝京大学11時間04分08秒
往路4位5時間30分39秒/復路11位5時間33分29秒
1区(21.3㎞)13位小野寺悠④63分37秒[13]0:37
2区(23.1㎞)12位星  岳④68分16秒[14]2:17
3区(21.4㎞)4位遠藤大地③62分56秒[6]2:07
4区(20.9㎞)9位中村風馬③64分00秒[8]2:44
5区(20.7㎞)1位細谷翔馬③71分52秒[4]2:31

6区(20.8㎞)20位三原魁人③63分11秒[9]6:53
7区(21.3㎞)10位寺嶌渓一③64分28秒[9]8:09
8区(21.4㎞)6位鳥飼悠生④65分06秒[10]8:05
9区(23.1㎞)3位橋本尚斗③69分25秒[6]9:16
10区(23.0㎞)11位山根昴希④71分20秒[8]8:04

1区小野寺選手…最初の3区間は前年と同じ区間配置だったのですよね。小野寺選手は昨年の高速1区に最後まで食らいついただけに今回も好位置を期待されました。それとは違う展開となった中、今回は六郷橋付近で引き離され始めます。何とか前が見える区間13位で、トップと37秒差でのリレーとなります。

2区星選手…前回67分台の好走、中盤以降にうまく順位を上げていく様子が印象的でした。今回はスタート時前後の選手と集団を形成して前を追いますが、10㎞過ぎに追い付て着た駒大の選手でペースがぐっと上がります。暫く食らいつきますが権太坂手前で息切れ。前回よりも時間がかかってしまったのは悔しいところ。チームとしても14位とやや出遅れてしまいます。

3区遠藤選手…3年連続の3区、過去2回いずれも快走を見せ、この3区日本人記録保持者でもあります。とはいえ、今年は秋に一時調子を落としていて、心配されていました。序盤は区間順位上でも目立たず、まだ間に合っていないのかなぁと思ってしまいました。

 追撃は中盤から。並走していた青学大を突き放すと、ここから一気に前を追い上げていきます。順大や早大など力のあるランナーにまで追いついて交わして活き、今年も”湘南の風”に。8人抜きの快走で総合6位まで引き上げます。

4区中村選手…前回裏の7区を担当した中村選手、今回は往路の4区へ。序盤突っ込んでいき東洋大を交わすなど伊地知総合5位へ浮上。ただ、向かい風の中後半は厳しかったですかね。順位を落としていき、混戦の中、8位での中継になりました。

5区細谷選手…さて、ここが注目でした。帝京大中野監督は基本的には山対策は行わない方針でしたが、前回二区間とも区間二けたになったことを受け、今回はいつになく強化して臨んだそうです。

 山登りに選ばれたのは3年細谷選手。前回は上尾ハーフでまずまずのタイムを残すも、16人のエントリーメンバーに入れず悔しい思いも。一転、今年度は駅伝デビューとなった全日本大学駅伝でアンカーでシード権争いを勝ち切った、”旬”のランナーでした。

 平地から突っ込んでいくと、上りに入ってエンジン全開。実力者の東海大の西田選手を捉えるなど4位に浮上すると、下りでも勢いは衰えずなんと区間賞!2位東洋3位駒大が眼前に迫る成績に夢が膨らみました。

6区三原選手…一転、山下りは箱根の厳しさを見せつけられることになります。下りは中野監督「思い切り行ける」という三原選手。長身から伸びるストライドでよいスタートを切ったように見えました。

 ところが見る見るうちに順位を落としていきます。2㎞で足に違和感を感じ、本格的な下りが始まる頃には”パキン”と異音が聞こえたといいます。ペースを落として慎重に猛烈な下りに立ち向かいます。

 最後の平地で激痛が走りながらもなんとかタスキリレー。個人記録は、区間19位から2分遅れ、区間賞からは6分近く遅れての区間最下位の63分オーバーでした。

 病院に直行し、レントゲン撮影をすると、右足中指が綺麗に折れていたといいます。名将中野監督もさすがに動揺したシーン。箱根の怖さを見せつけられました。

 監督車が終盤までいない中、決死の走りを見せた三原選手。総合順位は9位、シード権より後方となる11位とは17秒差に迫られていましたが、よく繋いでくれたとも言えます。

7区寺嶌選手…どんな展開からでも、最後まで粘り強く順位を上げていく”世界一の諦めの悪いチーム”帝京大はここからが真骨頂。

 大学駅伝初出走の寺嶌選手が、青学大に交わされるも、神大を交わして9位をキープ。ラスト1㎞で追いついてきた早大には、もの凄いスパートをしていたのが印象的。もう一度、駅伝の流れに乗ります。

8区鳥飼選手…3年連続8区となった鳥飼選手。今年度は全日本駅伝3区爆走でびっくりしましたね。最後の箱根本戦は、爆走とはいかずも安定した走り。ラストでもたついて早大に捉えられますが、区間6位の走りで、11位のチームは突き放しました。

9区橋本選手…そして満を持してスピードランナー橋本選手を投入した9区で攻めます。早大のランナーと競り合いながら順位を上げていき、ラスト3㎞からのスパート合戦に見事勝利!69分25秒の好タイムで区間3位、総合6位まで進出します。

10区山根選手…全日本駅伝6区好走でシード権獲得の立役者となった4年増田選手がエントリーされていましたが、当日変更で同じ4年山根選手になったのは驚きましたね。

 とはいえ、山根選手も記録会でいいところまでいっていたランナー。最後のチャンスを掴みましたね。知っての通り4つ巴の決戦となった6位争い。残り2㎞で決死のスパートをかけたそうですが、実らず8位に後退。それでも、帝京大史上初となる4年連続シード権、無事に獲得です。

収穫と今後に向けて

 さすが、育成型長距離ロードに特化して、粘り強い戦いを目指す帝京大。粘り強さがものをいうだろう、箱根山登りはいきなり制しました。そしてアクシデントがあっても、またジリジリと浮上してくるところは、”らしさ”を見せることはできましたよね。

 ここから、1区2区を2年連続で務めたランナーが卒業してしまうので、チームとしては作り直しになりますかね。ひとまず、往路遠藤・中村選手、山好走の細谷選手、復路好走の寺嶌・橋本選手ら今の3年生、つまり次の4年生が中心になるので、今までの帝京大らしいチームになっていくのでしょうか。

 気になるのは、今の2年生以下がどのくらい台頭できるかどうか。育成型チームとはいえ、今回は全員が3年生以上が出走。現1年生小野選手ら若手の突き上げがどのくらい出てくるか。このあたりにも注目してみていくことになりそうですね。

hakonankit

箱根駅伝の魅力に3歳の頃から取りつかれ、今や全日本大学駅伝や出雲駅伝を含めた大学駅伝、その予選会。大学長距離界がとても大好きな人間です。ブログでは10年以上にわたり、追いかけています。