関東地区各大学の、大学駅伝シーズン2020-2021を振り返っておきます。
箱根駅伝2021で3位東洋大学と4位青山学院大学です。
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3位東洋大学11時間00分56秒
往路2位5時間30分22秒/復路9位5時間30分34秒
1区(21.3㎞)9位児玉悠輔②63分26秒[9]0:26
2区(23.1㎞)4位松山和希①67分15秒[5]1:05
3区(21.4㎞)8位前田義弘②63分55秒[5]1:54
4区(20.9㎞)6位吉川洋次④63分39秒[5]2:10
5区(20.7㎞)3位宮下隼人③72分09秒[2]2:14
6区(20.8㎞)14位九嶋恵舜①60分05秒[4]3:30
7区(21.3㎞)12位西山和弥④64分54秒[4]5:12
8区(21.4㎞)2位野口英希④64分15秒[3]4:17
9区(23.1㎞)7位小田太賀④70分08秒[3]6:11
10区(23.0㎞)9位清野太雅②71分12秒[3]4:52
1区児玉選手…一番最初に大手町の曲がり角を曲がって以降は、それほどは目立たない位置にいました。ペースの変動が激しかったですが、しっかりと食らいついていましたね。六郷橋の上りでスパートをかけたのは駅伝ファン大いに沸いたのではないでしょうか。その後も、上位集団で戦い切り、区間9位ながら3位と小差で繋いだのはナイスラン!ついに覚醒が始まりましたかね?
2区松山選手…一番のサプライズでしたね。高校時代駅伝で活躍しスーパールーキー扱いでしたが、コロナ禍でトラックの試合にそれほど出場しなかった事もあり、ちょっと注目が低くなっていたのですよね。ここは上位校と少ない差で繋いでくれれば…と思いきや、まさかの上位集団内での走り。
1年生という事もあり、集団を引っ張るシーンが少なかったとはいえ、ラスト3㎞で脚が残っていたのはびっくり!日本人トップ争いに最後の最後で追いつきかけての5位中継。2区の中でも日本人2位となる区間4位は素晴らしい快走でした。
3区前田選手…今年1年で急成長を遂げた2年生。前回裏の8区を担当から、往路3区えすから期待値の高さも分かります。2位集団がバラバラになったあと、単独走でもう少し前を追っていけなかった悔しさはありますが、63分台で流れは途切れず繋ぎ切りました。この経験を活かしていける選手だと思います。
4区吉川選手…故障が多かったですが、最後4年連続で箱根駅伝を走れて、駅伝ファンとしてホッとしましたね。絶好調時のようにガンガン行くレースとはなりませんでしたが、粘っていって最後の3㎞で攻めていく4年生らしいレースで締めくくりました。2区の1年生が5位まで引き上げた順位をしっかりとキープします。
5区宮下選手…そして5区区間記録保持者に好位置で襷を繋ぐことができましたね。向かい風の影響でタイムこそ昨年ほどではありませんでしたが、区間賞ペースで早い段階で2位まで浮上します。ラスト5㎞下りで脚を痛めてしまったため、区間3位となってしまったのが悔しいところですが、昨年よりはるかに上位となる往路2位でのゴールとなりました。
6区九嶋選手…準備していると思われる選手が、16人エントリーの段階で外れてちょっとびっくりしていました。代わりに走ったのが、1年生の九嶋選手。トラックでぐっと成績が上がっていた選手です。序盤はすぐ後ろにいた駒大の選手と競っていましたが、下りで乗り切れず後退。60分少しかかり、最後東海大にも抜かれたのは悔しいレースかな?また、リベンジに期待したい。
7区西山選手…3年連続1区、ただ好不調の波がややあった中どうするのかと思われましたが、7区エントリー。それも結構早い段階で決まっていたようです。すぐに前の東海大を捉えましたが、そこからいききれず、逆に10㎞前に突き放されてしまう苦しいレースに。
それでも15㎞地点で同じ4年大森主将の給水から何とか意地を見せて、4位中継。区間11位と決して本来の西山選手の走りではありませんでしたが、現時点の力は出し切っています。実業団で心機一転結果が出れば!
8区野口選手…東洋大の見どころはある意味ここからでしたね。4年野口選手はこれまで大学駅伝エントリーこそあるものの補欠どまり、今年の箱根も苦しいかと思われましたが、11月末の記録会で1万m28分台を出したことにより、エントリーに滑り込みました。
その後も調子を上げてきて、スタミナの求められる8区起用へ。1㎞3分ペースできっちり刻んでいき、遊行寺の坂手前で東海大を捉えて再び3位浮上。その後さらに前を追っていく走りで、64分15秒の区間2位!最後にチャンスをつかんだ男が大きな仕事をしました。
9区小田選手…彼も最初で最後の大学駅伝出走だったのですよね。これまで大きな大会でエントリーされることもあまりなかった選手です。今年秋に1万ベストを大幅更新すると、11月に練習でハーフマラソン62分台を記録。単独走でもいけるという酒井監督の判断で、復路エース区間大役を任されました。しっかりとペースを刻んで、後半区間順位をあげていくいぶし銀の走り、3位を守っての中継です。
10区清野選手…今季急成長の選手、アンカーに抜擢されましたが、中盤過ぎまで区間最下位に近いペース。ちょっと心配していたら、後方からみるみるうちに青学大が追いかけてきて、残り5㎞を切ったところで交わされて4位に後退します。
ですが、ドラマはここからでした。前回11年連続で守っていた表彰台3位以内が途切れ、今回は復活をかけて、ここまで3位まで繋いだ襷。”ここまで来て落とすわけにはいかない”そう思った瞬間、清野選手の身体が動き始めました。相手が息切れした残り2㎞で再び3位を奪うと、ラストは全選手最も早いタイムで駆け抜け、総合3位へ。1年で表彰台に返り咲きました。
新たなエース松山選手が出てきたのが一番の収穫ですね。期待はもともと高かったとはいえ、エース区間2区でいきなりあれだけの活躍をするとは!他にも2年児玉選手が波に乗ってきて、前田選手も概ね順調に成長しています。
また、復路では最初で最後の大学駅伝となった4年生の選手が2人も出走。しかもいずれも好走し総合3位に貢献しています。これもまた珍しいのでは…。昨年はエース以外の選手が足踏みしていて選手層が薄かったのが、見違えるほどです。
今後は総合優勝に向けてまた突き進んでいく年度になっていくと思います。山登りの宮下選手が最終学年とういことも踏まえて、大いに狙っていきたい年です。
今年の箱根駅伝は6区山下りで優勝争いから脱落しました。強豪校は58分前半が最低ラインになりつつあるので、この区間の育成は急務です。平地区間は今後のチーム内競争次第でしょう。また、優勝争いに加わっていく鉄紺のタスキが見れるはずです。
4位青山学院大学11時間01分16秒
往路12位5時間35分43秒/復路1位5時間25分33秒
1区(21.3㎞)6位吉田圭太④63分20秒[6]0:18
2区(23.1㎞)14位中村唯翔②68分29秒[13]2:13
3区(21.4㎞)14位湯原慶吾③64分48秒[11]3:55
4区(20.9㎞)4位佐藤一世①63分09秒[10]3:41
5区(20.7㎞)17位竹石尚人④75分59秒[12]7:35
6区(20.8㎞)3位髙橋勇輝③58分13秒[10]6:59
7区(21.3㎞)3位近藤幸太郎②63分14秒[7]7:01
8区(21.4㎞)3位岩見秀哉④64分29秒[5]6:20
9区(23.1㎞)2位飯田貴之③69分20秒[4]7:26
10区(23.0㎞)4位中倉啓敦②70分17秒[4]5:12
1区吉田選手…往路は色々あった青学大ですが、出足は良かったです。2年連続1区のスピードエース吉田選手が集団内でしっかり上位を伺います。ペースのアップダウンの激しいレースは苦手で、おまけにマークもきつかったそうですが、その中で区間6位の18秒差でまとめたところは強いですね。ここまではいつでもトップを伺える位置でした。
2区中村選手…ただ、ここから苦しむのですよね。昨年の出走者が怪我でエントリー漏れしていました。全日本駅伝で好走し練習はしっかり積めていたという中村選手が抜擢されますが、10㎞過ぎに上位集団から後退、最後は13位にまで順位を落としていしまいました。68分半ばのタイムは悪くないのですが、2区のレベルが一段と上がりましたね。
3区湯原選手…ここに主将の神林選手で一気に首位戦線に躍り出るはずが…周知のとおり、28日に疲労骨折が判明し3区出走を断念。スピードのある3年湯原選手に命運を託されました。帝京大の実力者に途中まで付きましたが、中盤離れてから非常に苦しみました。順位こそ総合11位とあがりましたが、かなり前と離れてしまいました。
4区佐藤選手…往路の大きな収穫ですね。全日本5区区間新で駅伝での強さを見せていた佐藤選手が、箱根往路となる4区で区間4位好走!終盤に日体大をかわす以外は、ほとんど単独走だった中ですので、駅伝での力は高いのは再確認できましたね。ここでトップと3分41秒差。まだギリギリ総合優勝が狙える位置でした。
5区竹石選手…ここで2年ぶり3度目の山登り、留年してまで結果にこだわった竹石選手が駆け出します。練習では、71分前後の手ごたえがあったそうですが、いざ上りにかかると非常に重たい走りに。途中からは脚に痙攣も加わり何度も立ち止まざるを得なくなりました。
タイムも区間順位も一番厳しい結果、それでも最後は意地のゴール。総合優勝の可能性はほとんど潰えましたが、混戦の中往路12位。すぐさま復路切り替えられる位置でゴールしました。
6区髙橋選手…復路の流れを作るに大事な山下り。4年松葉選手とのチーム内競争にも勝ちきって、3年髙橋選手が出走。序盤の登りから速いペースで入り、中盤他校が食い下がるも、ラストの平地でも伸びやかな走りをキープ。早大をかわして10位に浮上。58分13秒の区間3位とハイレベルな成績でまとめ上げます。
7区近藤選手…ここは青学大さすがの選手層ですね。1万m28分35秒の選手を7区に置けるのです。全日本駅伝2区の失敗でおそらく復路に回っていましたが、さすが実力は抜けていました。
後方の早大を突き放し、すぐ前の帝京大も交わしていくと、東国大や神大と次々と順位を上げていきます。終盤まで区間賞ペースで走っての区間3位。3人抜きで総合7位浮上で、復路優勝鵜への機運を一気に高めます。
8区岩見選手…前回の経験者の4年生を配置してさらに上位進出の流れの継続を狙います。順大と東国大を中盤までに交わしていくと、遊行寺の坂でもしっかりと区間上位の走りをキープ。2年連続64分前半台の好タイムで総合5位まで浮上します。
9区飯田選手…前回の山登りではなく平地に回りましたが、長距離ロードの強さはさすが。序盤から突っ込み気味で入り東海大に追いつくと、横浜駅前を過ぎてから突き放しで総合4位浮上。69分20秒区間2位の好タイムで復路トップとします。
10区中倉選手…故障の神林主将3区起用を断念し、10区に起用しようと一時考えられました。コロナ禍の中、一年間チームを引っ張ってきた彼に走ってほしい。たとえ、途中で止まって、予選会からになってもいいと。神林選手は「自分が走らなくても優勝できるから」と断りました。
それでもメンバー争いは激しかったのですよね。2年中倉・4年新号選手で12月30日まで決まらなかったそうです。4年生の情にも流されそうになりながらも、最終的に、記録会と練習のデータ上、数秒中倉選手の方が速いということで、中倉選手に決まりました。
その中倉選手が、ガンガン東洋大を追い上げていきます。交わせば、往路12位からの総合3位まで浮上にペースが上がっていきます。相手がもたついている間に、一時は逆転して総合3位に!ただ、ラスト3㎞で息切れし、再逆転で4位にとどまります。
復路優勝は、駒大がラストで区間賞を獲得し、微妙となっていましたが、集計結果僅か2秒下しての復路優勝!直前でアクシデントがありながらも、できる限りの配置をした中での、王者の意地でした。
収穫はもう箱根駅伝初出走者がそれぞれ貴重な経験をしたということだと思います。ルーキー佐藤選手の活躍が目立ちますが、箱根2区抜擢された中村選手、復路優勝に貢献した近藤・中倉選手ら2年生の世代が上がってきていること。
課題というか…2区3区予定の選手が直前で外れるというのは、青山学院大の選手層をもってしても、かなりの痛手になるんだなということでしょうか。
そんな中、キーとなるだろう岸本選手が復帰して日本クロカン・学生ハーフに出場予定です。また、入学予定の選手が高校駅伝エース区間1区でトップ争いを繰り広げていました。もう一度しっかり戦力を整えて、また王者返り咲きを狙っていくことと思います。