参照サイト:マラソングランドチャンピオンシップOfficial Site
気が付けば、マラソングランドチャンピオンシップ:通称MGCが、もうまもなく迫ってきていますね。
この大会で、上位2名の東京オリンピックマラソン代表内定、3人目は日本記録相当の記録が、今後のマラソンで出ない限りは内定と、非常に重要な大会となります。
ここでは、男子のマラソンの部に出場する選手を紹介していきます。
まずは大本命と言われている4選手:大迫 傑・設楽悠太・井上大仁・服部勇馬となります。
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自己ベスト
1500m3分40秒49
3000m7分40秒09(日本記録)
5000m13分08秒40(日本記録)
10000m27分38秒31
ハーフマラソン1時間1分1秒
フルマラソン2時間5分50秒(日本記録)
佐久長聖高校時代には高校駅伝で優勝、早稲田大学時代では、箱根駅伝で優勝。学生時代は駅伝で大きな成果をあげましたが、当時から駅伝には興味はなく、あくまで本来の陸上一筋でやっていく覚悟でいました。
世界的なランナーを輩出するNikeORPJTに所属することを許され、アメリカに生活拠点を移してからもますます高レベルの成績を残します。そして、マラソンでその能力が大きく開花。僅か3度目のフルマラソンで日本記録を更新します。
内容も、ペースメーカーが安定せず、前半が日本記録より遅いペースで推移、一転後半は5㎞14分台の連発!これまでの日本マラソン界からすると驚異的な後半のスピードを維持して、日本人初の2時間5分台をマークします!
本人は、マスコミの前では多くは語らず、また現在所属しているNikeORPJTが基本的に守秘義務ということもあり、それほど多くの情報が出ていません。ただ、周囲の話などをまとめると、”陸上長距離で1番を取る”ということにストイックなんですよね。
一番はこだわりがあって、レースで取り逃したときの悔しさの感情は人一倍激しい事は知られています。さらにロッカーも1番にこだわったりなど、そこには人一倍いい意味で執着があるようです。また、良いと思ったことは、歯に衣着せぬ言い方でズバッと指摘することも。自分や、周囲の環境を、より良くするためにストイックな一面ですね。
マラソンを本格的にするようになってから、走りこむ量も格段に増えたのは勿論、上半身・下半身とも、とても逞しい筋肉がついています。筋トレ・体幹トレを相当力を入れてしているからですが、とても地道で辛いトレーニングです。
以前はあまりしていなかったそうですが、今のNikeORPJTで大迫選手がマラソンをするにあたり、非常に重要だという事を理解し、地道に取り組んでいるそうですね。非常に苦しいはずですが、1番を目指そうと、うまくメンタルコントロールしているのだと思います。
前回の東京マラソンがコンディションが整わず、棄権したのがちょっとだけ気がかりですが、トラックの記録会・ハーフマラソンでは元気な姿を見せています。また、暑さへの対策も比較的得意な印象。終盤に脚が残っていれば、非常に強い。やっぱり本命なのでしょうか?
自己ベスト
3000m7分59秒97
5000m13分34秒68
10000m27分41秒97
ハーフマラソン:60分17秒(日本記録)
フルマラソン:2時間6分11秒
大学の後半から急激に駅伝・ロードに強くなり、NY駅伝では常にエース区間4区を走り続け区間賞を獲得。マラソン初挑戦時の東京マラソン2017では、日本記録を大幅に超えるペースでハーフマラソンを突っ走るという積極的なレースが話題になりました。
その後、ハーフマラソンの日本記録保持者となり、迎えた1年後の東京マラソン2018で大いに沸かせしたね。程よい条件と程よいペースメイクが重なり、さらに10㎞付近から出た脚の痛みまでいい方向に作用(終盤まで自重)し、見事日本記録を樹立!日本陸連が用意した”日本記録1億円”を最初にゲットした男となります。
レース中に出た脚の痛みの回復、さらに体調不良もあり、思うように走れない時期がしばらくありましたが、トラックの日本選手権に出場。その後、コールドコーストマラソンで初の優勝を経験!俄然オリンピック候補に挙がってきました。
設楽選手は走力は高校時代からあったものの、勝利への欲が少ないと言われていました。高校駅伝時に、双子の兄が体調不良になっても、エース区間は兄へ譲ったエピソードがあるくらい。それが、大学駅伝で兄と弟に走力差あることで、設楽悠太選手を”設楽の弱い方”と表現され、屈辱を味わいます。
だったら強くなるしかない、そこから箱根駅伝7区の区間新記録(当時)など快進撃が始まり、今に至ります。筋トレ・体幹トレは一切しない、レースを練習に利用する、コンビニもよく利用しカップ麺も大好きなど、自己流の練習調整法も話題になりますが、原点は悔しさにあるようですね。
MGCもオリンピックもレースの一つと飄々としている面も見せつつも、日本一になりたい思いも人一倍強い。自分のペースで走ったり、PMのいるレースが強いと言われていましたが、至近のマラソン、コールドコーストマラソンで優勝を経験!勝負強さを身に付けて、いざ勝負です。
自己ベスト
1500m:3分49秒64
5000m:13分38秒44
10000m:27分56秒27
ハーフマラソン:1時間1分39秒
フルマラソン:2時間6分54秒
山梨学院大時代からロード安定感はあったものの、同世代のスーパースターの陰に隠れていた印象でした。能力が大きく開花したのは、実業団に進んでフルマラソンに本格的に取り組み始めてから。
2度目のフルマラソンとなった東京マラソン2017で2時間8分台の好走!世界陸上の座を射止めます。この時は、打ちのめされますが、この経験を糧としてさらなる成長を遂げます。
翌年の東京マラソン2018では、2時間6分台!更に走力を伸ばしてきて、日本を代表するマラソンランナーに成長します。ただ、実はこれ日本人2位。またも同世代の選手に勝ちきれないところ、とても悔しかったでしょう。
迎えたアジア大会マラソン。過酷なコンディションということもあり、非常にスローペース。もくもくとペースを刻むと、38㎞からバーレーンの選手とスパート合戦!苦しい最後の直線で懸命の絞り出しで制し、アジア大会と言う大舞台でマラソン初優勝!大きな自信を得たと思います。
確実に成長を遂げてきている井上選手の秘訣は、綺麗なフォームと豊富な練習量にあると言われていますね。地面からの蹴り返しが非常に軽快で、大きな反発を得た上で、しっかりと効率のいいフォームになっています。
練習は、日本陸上がよく推奨する40㎞走、さらに50㎞走など、かなりの距離の走りを慣行していっても、大きな故障をすることがなく練習が積めるとのこと。それから彼の場合、スナック菓子はここ10年以上一切摂取していないとか…。結構、以前から行われているトレーニングが合っているようで。いろんな強化の仕方があります。
なお、今年4月に行われたボストンマラソンでは、海外勢のスパートについていけず、2時間12分台で12位。ここで一つ悔しい経験も…。ただ、彼はストイックに糧にできる性格。MGCでの進化が楽しみですね。
自己ベスト
5000m:13分36秒76
10000m:28分09秒02
ハーフマラソン:1時間1分40秒
30㎞:1時間28分52秒
フルマラソン:2時間7分27秒
東洋大の下級生のときから、長いロードで頭角を現していました。2年時に30㎞で1時間28分52秒の学生記録を達成!これは今も破られていない記録です。その後、箱根駅伝で”華の2区”エース区間で2年連続区間賞を達成し、大きな手ごたえを得ます。
フルマラソンは早くから準備を進め、大学3年の時から出走予定。この時は怪我で断念も、4年時の東京マラソン2016で五輪代表を本気で狙って出走。35㎞から苦しくなるも、一時は日本人トップとなる走りで、長距離ファンを沸かせました。
ただ、この35㎞からの失速を中々食い止めることができず、その後のマラソンはサブテンは達成しても代表入りとまではいかない時期が続きます。その中で、練習メニューに試行錯誤を重ねます。
そして、迎えた福岡国際マラソン2018。ずっとトップ集団でしっかりとどまると、今まで失速していた35㎞でスパート!35㎞から40㎞を14分40秒でカバーする、日本人が中々できなかったことで優勝!この大会での日本人優勝は14年ぶり!差が開いている海外勢を倒したのは、日本マラソン界に大きな話題となりました。
よく”35㎞の壁”と言われていて、服部選手もそこに一度はぶつかっているのですよね。彼の場合は、失速をとどめたのではなく、逆にスパートをかけるところまで変貌を遂げたので、非常に話題になりました。
彼の場合は、端的に言うと”練習不足”だったということだそうで。2010年前後あたりから、流行だったスピード練習中心のアプローチが合っていなかったそうですね。
結果を出しているランナーが相当走りこんでいることを知り、ジョギングの量を増やし、そのジョギングのフォームも、本番のフォームに近くする工夫。40㎞走もかなりの量をこなしたそうです。それが福岡国際マラソンの結果に繋がったようです。
今年は一時期体調不良に見舞われる不運もあったようですが、着実に回復に向かっているそうです。質量ともに充実した練習を積んだ服部選手の姿が再び見られれば、面白いです。
一応、本命を上げろと言われるとこの4選手ですかね。
よくある日本のマラソンは、比較的走りやすい条件になる冬に行われ、ペースメーカーがレースを引っ張ります。
ただ、MGCは残暑残る9月15日、そしてペースメーカーがいない中、行われます。
どういったレース展開になるのかは、正直読みづらく、予想外のことが起こるかもしれません。総合的にはこの4選手が比較的有利かなと思いますが…
それにしても、この4選手の中、少なくとも1人はマラソンでオリンピックは出られないのですから、日本男子マラソンなりにレベルは上がってきているんだなぁと感じます。まずは彼らが走れるかどうか注目ですね。